清水潔子にぶたれない (ページ30)

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天才ページ30

確かにコーチの言う通り彼らは変人だ。

生まれてからずっと一緒、とか双子、とか兄弟、とかなら100%信頼することはできるかもしれない。

でも彼らは高校から一緒になったと聞いた。
あと日向くんからしたら影山くんは因縁のライバル、絶対に倒したい存在だったそうだ。

それを考えると普通なら100%信頼することなんて難しいと思うし、相手を疑ってしまうかもしれない。

なのに彼らは出来ている。
おかしい。すごくおかしい。

この前までは敵だったんでしょ？それに倒したい相手だったんでしょ？？

まあ新入部員での試合があったみたいだから、その時何かあったと思うが、なにをどうしてこうなったんだ。

これ以上この速攻について考えても一向に解決できる気がしないから今は一旦置いておこう。

影山くんと言う”天才”が入ってきた今、元からいた菅原はどんな気分なんだろうか。

自分で言うのはアレだけど、私も”天才”と言われる分類に入っていた。
だから同じチームにいたリベロの子はAになんて勝てるわけがない。凡人が天才に敵う訳がないんだよ！、といっているのを聞いたことがある。

確かに凡人からしたらたまったモンじゃないと思う。
WSやMBとかならまだ人数入れるけどSやLiは1人しか入れない。
だから同じチームに1人しか入れないSとLiに天才がいたら希望をなくすかもしれない。

男子がどんな感じかはわからないけど、女子では妬まれたり悪口を言われたりした。
1番言われた言葉は”天才は大した努力なんてしなくてもレギュラーなれるもんね”
この言葉が私は大っ嫌いだった。

いつどこで誰が天才は努力しなくても上手いと言った？少なくともそんなこと言う奴らよりかは練習してるし努力もしてる。

悪口を言うのは簡単だけど、努力と練習はとても大変。努力をしてきたからこそ、元からあったセンスは磨かれ、才能を開花することができた。

だから天才はいいよねと妬んでる暇があるのなら、努力しろと思った。

でも、凡人が沢山努力をしていたとしても、とんでもない才能を持った天才がはいってきたら、凡人は一瞬で負けてしまうのかもしれない。

『ゴッ』

東峰の平行なスパイクが地面に叩きつけられた。

田中「一ヶ月ぶりでもタイミングバッチリだな、チクショーめぇっ」

でも、沢山の練習と積み重ねた時間があるから出来るモノもある。

あの2人の信頼関係は一朝一夕で築けるモノじゃない。

影山くんにあるのが”圧倒的才能”だとしたら、菅原は積み重ねた”信頼と安定”だ。