清水潔子にぶたれない (ページ17)

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足りない　～澤村～ページ17

いつもより頼もしい顔をした武田先生を見て俺は、なんて良い顧問を貰ったんだろうと改めて思った。

澤村「よし！せっかくの練習試合無駄にしないように練習も気合い入れんぞ！」

武田先生への感謝も込めてこれからの意気込みを叫べば部員の大きい返事が返ってきた。

今は新しく1年も入ってきた。たくさんの戦略も生まれている。

もうあの時みたいにはさせない。
旭ばかりに負担をかけるわけにはいかない。

田中「東京かああ…！シティボーイめええ
けちょんけちょんにしてやるんだせええ…！」

田中に馬鹿にしたようなツッコミを入れる月島を見て俺は安心した。

あぁ、このチームなら大丈夫だ

西谷「…大地さん」

でも

西谷「すみません、俺、練習試合出ません」

足りない、足りないんだ

澤村「…東峰が戻ってないからか」

まだ戻ってきてない奴らがいる

澤村「…お前は東峰が”逃げた”って思ってハラ立ってるのかもしれないけど、西谷は西谷なんだし___…」

西谷を横目に見て言えば、日向達の方を向いて話し出した。

西谷「…翔陽はいいやつだし、他の1年も曲者揃いだけど面白そうな奴ばっかで、これからこのチームはなんかこう、いい感じにやって行くんだと思います。」

確かに西谷の言う通り個性の強いやつばっかが揃ったって感じはする。

西谷「俺も…ここで練習したい
…けど、試合に…俺も試合に出て勝ったら…旭さんとA先輩がいなくても勝てるって証明になるみたいで」

西谷はとても悔しそうな、悲しそうな顔をして話した。

西谷「今まで一緒に戦ってきたのに、旭さんがいなくても勝てる…A先輩がいなくてもバレーが楽しい…みたいになるの…嫌です」

俺は今までこんな顔をした西谷を見たことがなかった。

西谷「わ、ワガママ言って…スミマセン…」

その言葉と表情に西谷の全てが詰まってるんだと感じた。

澤村「…わかった。でも合宿は出てくれよ」

俺が少し驚きながら言うと、日向がとても嬉しそうにボールを持ってこっちに来た。

日向「ノヤさん！！もっかい！ローリングサンダーもっかい！！」

な？と西谷の肩をポンッと叩けば、困ったような顔をして考えておきます、と言った。

このチームにはまだ足りないものが沢山ある。
それは技術的なものかもしれないし、物理的なものかもしれない。

強くなるにはまず、欠けてしまった部分を戻す方法を考える必要がある。