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変化 ページ1

立っている潔子を見上げればハァハァ、と肩で息をしていた。

「…また、ぶたれた」

ぶたれた頬に手を当てて床から立ち上がる。

「潔子にぶたれるの結構好きかもしれない」

ヒリヒリと痛む頬をさすって潔子の方を見れば、とても驚いた顔をしている。

「なんか愛を感じるなぁって思ったの。」


こんなにも私のことを思って怒ってくれる。
ちゃんと向かい合ってくれる。
今頃遅いのに話をずっと聞いてくれる。


「今頃こんなこと言っても遅いかもしれない、でも、潔子は真剣に話を聞いてくれた。それが本当に嬉しかった。背中を押された気分だよ。」


ずっと過去のことに囚われて生きてきた。
バレーをして辛い思いをするなら、もうやりたくないって思ってた。


「私ね、あの時から絶対にバレーに関わらない、って心に決めてたの。でも、潔子の言葉のおかげでバレーに向かい合いたいって今思ってる。」
「そして、バレー部に戻って皆を信じたい。本当の仲間と呼べる存在になりたいって強く思うよ。」


潔子がこんなにも真剣に一生懸命に想いを伝えてくれるなんて思ってなかった。

今まで人を信じようともしなかったけど、信じてみたいって思った。


「もう後悔はしたくないっ」


何もしようとしなかったあの時とはもう変わる。
喪失感が芽生えてしまった日を変えることはできない。
でも、これからの未来を変えることならできる。


「本当の私を知ってもらいたいっ」


皆を騙したくない。
偽りの言葉を並べて自分を守ってきた。
でももうそんなの必要ない。
本当の自分をさらけ出さないと信頼なんて生まれない。仲間なんて一生できないまま。

今までは、皆と1枚の壁を作って生きてきた。
今がその壁を砕く時。

上辺だけの関係なんて捨てて、しっかり皆に立ち向かわないと。


「絶対に、逃げたりしたくないっ!」


逃げる方が辛いって知ってるから。
同じ誤ちは繰り返したくない。

これで先に進もうとしなかったら本当にただの負け犬だ。こんなんじゃ、悪魔なんて異名がついたって言えない。カッコ悪いまま。

今進まないでいつ進むの。


「だからっ、もう一度バレーがやりたいっ!!」


アドバイスだってしてみせる。
もう怖いことはないって完璧に言い切ることはできないけど、私はもう一人じゃない。



こんなにも私を叱ってくれて、真剣に向き合ってくれる人がいる。


「潔子とマネージャーやりたいっ!!!」

驚 〜清水〜→



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さくみ(プロフ) - 947さん» そう言ってもらえて本当に嬉しいです。ありがとうございます!頑張りますね! (2020年5月6日 12時) (レス) id: 8ec2e6d345 (このIDを非表示/違反報告)
947(プロフ) - 凄い面白かったです!これからも更新頑張ってください、応援してます! (2020年5月4日 5時) (レス) id: ef0a8212f8 (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - ぶーりんさん» ありがとうございます!! (2020年3月27日 21時) (レス) id: 8ec2e6d345 (このIDを非表示/違反報告)
ぶーりん(プロフ) - もう、すこい (2020年3月25日 21時) (レス) id: 4738da1722 (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - 【夜型系投稿者】猫パンチさん» ありがとうございます!本当ですか!?とても嬉しいです!!! (2020年3月13日 19時) (レス) id: 8ec2e6d345 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくみ | 作成日時:2020年3月12日 5時

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