清水潔子にぶたれた

信頼 ページ25

澤村「大丈夫だ！絶対に勝てる！気合入れていくぞ！！」

烏野男子バレー部には指導者がいない。顧問だけだ。だから選手が自ら喝を入れるしかなかった。

部員「おおっす！！」


部員がコートに戻っていく前に、皆を一回集めて
“エースにトス集めすぎじゃない？”
“ブロックに狭まれて打点が低くなってる”
“どんどん声出して行こう！”
“スパイク跳ぶの怖がって見えるからもっと思いっ切り跳ぼう！”
って言いたかった。


でも
私の意見なんて誰も聞いてくれるはずがないと、部員を信頼しなかった。




その後はどんどん烏野が追い込まれていき、皆の焦りを強く感じた。

「っ…」

この時はすでになんで応援をしたらいいのかわからなくなっていた。

選手の助走が足りなくて打点が低くなっていってるし、掛け声は辛うじてあるぐらい。

「…ハハッ、さっき言っていたら、今の状況とは変わっていたのかな…」

きつくなるにつれ、エースにボールが集まる確率がさっきより増える。

東峰だって人間で体力が底なしってわけじゃない。当然疲れるわけで、足取りが重くなっているのが見てわかる。

エースのスパイクは伊達工のブロックに何度も捕まり、もう何本目かわからない。

東峰「…くそっ」

東峰の視界が暗くなるのがわかった。打っても打っても高い壁に止められ、打ち抜くイメージが全然見えなくなっているようだった。

その時なんて声をかければいい？
頑張れ？東峰なら打ち抜ける？
そんなこと私が言ったって選手に何にも響くわけがない。

それから東峰のスパイクやサーブ、ブロックは徹底的にマークされた。

それでも東峰は何度も何度もトスを呼んだ。
俺に持って来い
俺が決めてやる
でも徹底的にマークされてるから点に繋がることはなかった。

そして1番恐れていることが起きてしまった。
エースがトスを呼ばなくなった

その時は伊達工のマッチポイントだった。
完璧相手の戦略にハマってしまった。

西谷「旭さん!?」多分、皆を応援するのが正しいんだろう
菅原「旭…?」でも
澤村「!!スガ!ライト!!」何で言葉をかけて応援をしたらいい？
菅原「だ大地!!」

『ドドッ！！』
厚い壁がボールを地面に叩き落とす音がコートに響いた。


そこで試合は終了した。

私たちは1セットも獲ることが出来ずに伊達工に負けた。

想い→←壁

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