偽り ページ21
潔子や同級生、先輩に”千鳥山の西谷”と知り合いだったんだって言われた。
なんて返したらいいか分からなくて”まぁ”と、なんとも曖昧な返事をした。
そこで何かを察したようで、私とノヤの関係について深く聞いてくる人は誰一人いなかった。
聞かれてもうまく話せる自信がなかったから、私としてはありがたかった。
それからノヤとはなんとも曖昧な関係のまま、インターハイへ向けての練習が始まった。
1年生は合計で7人入ってきた。
この頃は烏養コーチが戻ってきていて、とてもキツい練習内容だった。
練習についていけないと思ったのか、次の日から1年生が2人減って、その数日後また1人減った。そしてまた数日後2人減った。合計5人が減った。
部活を休む理由はそれぞれで、体調が悪い、家の用事がある、など様々だった。
残った1年生2人はノヤと龍だった。
2人とも”ゲロ吐いてでもボールを拾う”と毎日練習していて、どうしてそこまで一生懸命頑張れるのか理解できなかった。
頑張れ!ナイスボールッ!と、偽りの気持ちを言って応援した。
他の1年生が戻ってくるように澤村がお話しに行ったり、ノヤと龍が連れて来ようとしてたけど、戻ってくる気配はなかった。
潔子は何度も私に”戻ってくるよね?”って不安そうに心配して聞いた。
私はなぜ潔子が心配する必要があるのかわからなかった。それに、澤村がわざわざ話に行く意味があるのか理解できなかった。
私からしたら
“そのぐらいでやめるなら、そんなにバレーが好きじゃなかったんだね“
“いざという時に頑張れないやつ”
“自分の意思で戻らないなら、またすぐ来なくなる”
と思っていた。
でも大抵の人は1年生のことを心配していた。
だから余計なことを言う必要なんてない、ましては私の思いなんて言う必要はないと思い、胸の奥底に押し込んで、偽りの偽装の心配をそいつらに向けた。
そして潔子に”大丈夫、きっと戻ってくるよ”と、思ってもいない言葉を言った。
しばらくして1年生の”縁下力”が戻ってきた。
縁下「さっサボってすみませんでした!
練習させてください!!」
第二体育館の扉を開けて、制服姿で頭を下げて謝罪をしていた。
練習させてくださいって言うならなんで制服で来てんのって思ったし、やる気あんのかよとも思った。
でもノヤや龍は縁下が戻ってきたことを嬉しそうにしているし、澤村は安心しているようだった。
だから私はまた、本当の自分の気持ちを押し込んで偽りの気持ちを向けた。
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さくみ(プロフ) - おかかのおにぎりさん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!春頃の県民大会なんですね!ご指摘ありがとうございます!直してきます。本当にありがとうございます! (2020年3月13日 3時) (レス) id: 8ec2e6d345 (このIDを非表示/違反報告)
おかかのおにぎり(プロフ) - さくみさんいつも楽しみに見させてもらってます!!潔子さん好きの私にはサイコーです!!一応補足させて頂きますが、東峰さんが伊達工に捕まりまくったのは、春頃の県民大会であって、春高とは恐らく別物かな、と。上からに思えたらすみません!続編も応援してます! (2020年3月12日 8時) (レス) id: 64b2331bfd (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - みおさん» ありがとうございます!潔子さんの話あまりないですよね、私もそう思います!!更新頑張りますね! (2020年2月20日 6時) (レス) id: 7862236ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 清子さんの話ってあんまりなくて見つけてすごい嬉しかったです!!これからどうなっていくのか楽しみです!更新頑張ってください〜待ってます! (2020年2月20日 0時) (レス) id: 68de5461dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくみ | 作成日時:2020年2月16日 8時