†怒れる神よ ページ10
朝日が僕の顔を射す。
朝が来た｡
むくりと起き上がり、腫れぼったい頬を撫でる。
昨日は髪も乾かさずにぐっすりとうつ伏せに寝てしまったため、よだれと汗でむわっとしている。気持ち悪くて顔を洗いに行った。
軽く朝食をとったときに、臣君の料理を思い出す。ああ、また食べたいな｡
昨日のことが夢のように思えるほど、静まり返っているリビングを憐れむかのように新聞配達の音が聞こえた。
今日も一日が始まる。
GOD座に入ると、珍しく陽翔が一番にかけよってきた。
「陽翔おはよう」
「A、こっちこい」
「え？」
腕を強く掴まれながらトイレに連れ込まれる。
そして、誰も居ないのを確認して話し出す陽翔。
「お前昨日MANKAIカンパニーのやつらと一緒に居たろ」
「…まんかい？ごめん、なんのこと？」
陽翔の発言が意味不明で聞き返す。
「ピンクの髪の男と仲良く喋ってただろ。」
昨日…ということは、咲也君だろうか。確かにピンクの髪だ。
「…うん。それがどうかしたのかな？」
知らないのかよ…とため息をついてから嫌そうな顔で話し出した。
「そのピンクの髪のやつの所属してる劇団がMANKAIカンパニーって言うんだよ。」
「へえ」
「お前本当になんも知らないんだな。レニさん含めて、GOD座はあいつらを敵視してるんだよ。含めてっていうか主にレニさんが。俺だって嫌いだよあんなお気楽連中」
「…え？レニさんが…？」
一度落ち着こう。昨日のあんなに優しくて温かい彼等がいったいレニさんに何をしたんだ。
レニさんは何をされたんだ？
それとも、彼等は相当な演技のプロで、昨日のことは全部演技だったとか？
「前に居た、丞ってやつ分かるだろ」
「ああ…王子君か」
キラキラした外見とその良くできたストイックな性格から勝手に王子君と呼ばせてもらっていた。王子君は歳上だけどフレンドリーな人だった。けれどもある日突然辞めてしまったそうだ。
そのあとは僕が海外に出張していたので何があったのかは知らないが一つの公演分の資金がぽっかりと無くなっているときがあった。
誰に聞いてもお茶を濁されるだけだった。
もしかして、それが彼等の仕業だと言うのか。
「丞もMANKAIカンパニーに入っててさ。」
「へ？」
「つまり、色々と因縁深い嫌なやつらなの。レニさんが毛嫌いする連中とつるみたくないだろうから忠告してやっただけだ。もう近づかない方がいいからな」
そう言うと陽翔は一人で行ってしまった。
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作者名：Noahu | 作成日時：2017年9月5日 23時
