†囁くようにして ページ18
朝起きると、知らない天井だった。
そして、やけに広いベッド。
隣に陽翔。
そうか、思い出した。僕達は同棲することになったのだ。
ちょっと死のうかな。
窓の方に首を向けると綺麗なカーテンが、ふわふわと揺らいでいた。
聖職者の好みそうな美しい内装に思わず息を飲む。
昨日はあまり気にせずにとにかく僕も陽翔も気まずくて、さっさと寝てしまったた。
なので、目を覚ますためにも少し探索することにした。
ローマの神殿の柱に葡萄の蔦を象ったような時計に目をやると、まだ朝の４時位を指していた。
凝ってるな。
陽翔を起こさないようにゆっくり起き上がり、はあ、と小さく溜め息をつく。
どうせならレニさんが一緒でも良かったと思うのは僕だけだろうか。
内装を作ったのはレニさんかな。彼が僕に持ってくる舞台セットのデザインにあったような箇所がある。
…これは…暖炉？
一通りまわってから考えたことは、内装を手掛けたのはレニさんだろうということだ。
レニさんが好きそうだと思うだけの理由だが、そう思っておいた方が、少しは楽しくなる。
まるで、教会のような家だ。
結構広い。
用意されていた白色のブラウスに着替えた後、リビングにでて、大理石のキッチンに入る。
うわっ、綺麗だな
果てしなく趣味全開の内装に少し呆れる。これを考えた人はかなりのマニアだな…いや、レニさんが作ったことにしたんだったか。
高そうな食器が並ぶ。
…僕と陽翔が短期間住むだけなのに、金をかけすぎなのではないか？
まあ、そこはGOD座補正がかかる。
意外と内装に馴染んでいたどこにでもありそうな冷蔵庫を開けると少なめだが１週間分くらいの食料が入っていた。
一先ず卵とベーコン等を取りだしてありきたりな朝食を作ることにした。
カチャカチャとフライパンを用意していると陽翔が起きてきた。どうやら着替えを持ってきていたらしく、見たことのある服を着ていた。
「おはようA…うわ、キッチン白ッ…」
率直な感想と共に挨拶をしてきた陽翔は明らかに十人くらいは座れるであろうソファに腰かけた。何の躊躇いも無いのは流石GOD座のトップといったところか。
「おはよう陽翔。朝食はベーコンエッグとか作るつもりだけど食べれる？」
「んー。食える」
伸びをしてから振り返り答える陽翔は、なんだか東さんみたいだった。
東さんに最後に会ったのはずっと前のことに思えた。
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作者名：Noahu | 作成日時：2017年9月5日 23時
