貴方に画く恋をしたい【A3!】【男主】 (ページ2)

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†美しい貴方ページ2

飛鳥晴翔

憎たらしい存在だ。

「レニさん、今日のストリートACTは…」

にこやかに、世にいう営業スマイルで愛想を振り撒く彼を心の中で呪う。

うちの劇団の現状トップの役者である陽翔。

もちろんストリートACTをする際にはレニさんに付いていくし、というか劇団関係の外出時は常にレニさんにくっついている。

羨ましい。

だが、僕の邪魔をするつもりはなさそうだ。時々垣間見る、僕に対しての遠慮の姿勢はたぶん、僕の気持ちを知ってるからだろう。

しかし、かなり表裏の激しい人間なのでたまにレニさんと話ながら目が合うとわざとらしくニヤリとするのは止めてほしい。

それを差し引いてもやっぱり羨ましい。僕が彼の立場だったらどれ程幸せか。

レニさんの生み出した美しい世界の主人公になり

それを演じ

更にレニさんに褒められて

ああ憎たらしい

いっそのこと…

いや何を考えてるんだ。
そんなことをしたらレニさんが困るだろう。

「おーいA。なにぼけーっとしてるんだよ」

今話しかけたらうっかりやってしまうかもしれないので正直こっちに来ないでもらえるとありがたい。
そんなこと思っても無駄だが。

「レニさんが、お前も連れてけってさ。まあせいぜい俺の引き立て頑張ってよ」

フン、と鼻をならしてくるりとレニさんの方に戻っていった陽翔。

…なぜレニさんは僕を連れ出そうと？

僕は役者ではない。
あくまでも僕が居るのは衣装製作やら出費の計算やらのためだ。

自惚れたことをいうなら、僕は仕事ができるやつだと思う。レニさんは僕の才能をかってくれている。そのおかげで話し合いに入れたり、レニさんにいい扱いを受けたりしている。

役得だ。

それにしても、そんな僕を連れ出す理由が読めない。

気があるのか？

まさかぁ

ふふん…

まさかぁ

「Aー。早く来ないとおいてくってさ」

そんな甘い考えは憎き陽翔の声で消えたのであった。