貴方に画く恋をしたい【A3!】【男主】 (ページ1)

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†美しい貴方ページ1

響く声が騒がしい。

今回の公演の出演者たちが発声練習をしているためだ。

そろそろ本番も近いために、団員たちがより声を荒げている。

やはり、騒がしいと思った。

ここの劇団、GOD座は、ある一人の創造者によって保たれているといっても過言ではない。

神木坂レニ

ちらりと横を見ると彼が居る

きちんと手入れされた美しい髪を、形の整った指で耳にかける。

横顔だとより長く見える睫毛の下で、妖しく光る眼を細めた。

「そこのお前」

「は、はい！」

レニさんに話しかけられた団員の一人が、一瞬ためらいながら変事をした。

「声が枯れてるな」

じろり、と団員を見据えながら発する美しい声に皆が静まる。

「あっ、その、昨日の夜から調子が悪くて…」

「…そうか。今回は重役なんだ、今日はもう帰って調子を整えろ」

「え！？っでも、もう本番も近くて…俺練習がしたいです…」

気まずそうに下を向く団員。

「帰れと言っている」

そんな態度をものともせず言いはなつ姿

冷徹で、非道と囁かれる彼は

なんて美しいんだろうか

団員は渋々帰り、レニさんは満足そうだ。

そんな顔を見てまた浮かぶ不純な想い。

どうか、この人に愛されたい

彼を見つめていると、目があった。

団員にむける目とは違う

どこか優しさを感じる眼差しが、僕を包む。

それが、僕だからというわけではないというのは分かっている。

営業スマイルだ。

レニさんはフフ、と笑うとまた真剣に団員に向き合った。

言動が、存在が、産み出すものが、全てが美しい。

レニさん、貴方に会えて嬉しいだなんて言葉では現せない。

僕はそんな気持ちに押し潰されそうになったので首を振り、団員に向き合った。