壊れた地球【ヘタリア2Pカラー】

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ぐるりと部屋を一周見渡し終わったことに気づかれたのか、「朝食にするか」と彼は言い部屋の扉を開けてくれた。私も急いで布団から離れ、扉を開けてくれている彼に軽く会釈して廊下に出る。

部屋を出たことを確認すると、彼は、ダイニングはこっちだと誘導し進んでゆく。それも足取り軽くスキップをしながら。それに対し、後ろをのそのそと歩いていく私。


「好きな席に座っててくれ」


食卓の椅子は一つではなく、以前まで住人がいたことを推測させるように数個、対辺に並べられていた。片側は一つ、もう片側は二つ。彼は一応一人暮らしであるはずなのだが。

客人が偉そうにするわけにもいかないので、二つ配置された椅子のうちの一つに座る。となると彼は目の前か隣に来るのだろう。会って間もない相手と食事することは不慣れなので、あまり料理に手がつきそうにない。

そう思った矢先、彼が消えた恐らくキッチンである方角から、甘ったるい香りが届いてきた。甘い物は嫌いではないので、伏せ気味だった目が自然と上がり、ほんのり腹の奥で食欲と興味が湧いてくる。


「持たせたな！」


奥からやってきた彼の手には、いくつかの皿やらカップやら色々な物が乗せられたトレー。
どうやら私の目の前の席に座るようで、机に置いたトレーから料理の乗った食器をそれぞれ手前と奥に配置する。

焦げた食パン。苺ジャム。ティーポットにティーカップ。フォークにスプーン。焦げた目玉焼き。それとカップケーキ。ホールケーキ。

私は、寝ぼけているかもしれない。


「昨日も全然食ってねえし腹減ってるだろ？いっぱいあるから好きなだけ食えよ！」

『え、あ、ああ。うん。ありがとう』


本来料理が苦手であったイギリスに似ていないようで彼は似ている。料理が黒焦げになっているのもその為だろうか。きっちり真っ黒で炭と化したパンや目玉焼きは、決して許容範囲とは言えないが、焦げて苦いくらい今なら食べられるかもしれない。

それよりも、問題はデザートの方だ。


『この……カップケーキの、材料は……』

「ん？材料か？それは…」

『待って、あの、この丸い飾りって、何かな？』


好奇心と恐怖心が殴り合いを始めた。正直、恐怖心に勝ってほしかった。凄く聞きたくない。見た目が、これは、絶対に食材ではない。
けれど、彼の口から「違う」と言ってもらって、安心感を得たかった。私の目が可笑しいんだと。まだ眠気が覚めていないんだと。縋る気持ちでゼロに等しい期待を彼に向けた。

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