壊れた地球【ヘタリア2Pカラー】

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ふわふわする。なんだろう、クッションの海にダイブしているようだ。カバーの布の質が滑らかでとても良い。

今までの出来事は夢だったんだ。本当はここで心地良く、長い間眠っていて、恐らく仕事疲れから悪い夢でも見ていたんだろう。

けど、体を埋める程の大量のクッションを自分は持っていないことにすぐ気づいてしまって、気分は一気に奈落の底へ落とされる。


「起こしに来た！！グッドモーニング！」

『うわっ！？』


クッション、ではなくベッドの上、それも自分のものではなく、目の前のピンク髪の彼の物で、呑気に眠っていたのだと、朝から早々耳元で大声を出されたことで瞬時に理解してしまった。

悪夢は現実であった。これなら夢の中に閉じ込められたほうがずっといい。上半身を起こし、隣で表情これしか出来ないのかと思い始めるくらいに笑顔を絶やさない彼を見ながら、目覚めてしまった後悔ばかりが心の隅まで埋め尽くす。


「良く眠れたか？一緒に寝てやっても良かったけど、この部屋を使って正解だったな」


私いつの間に寝ていたんだ。また寝ていた上に今回も眠る直前の記憶がない。あの会議場を離れた後、この家へ招いてもらったことまでは覚えているのだが……

このベッドまで歩いた記憶がなく、それ以前にこの部屋は初めて見る景色に感じてしまうことが不思議でしかない。床でもソファーでもなくベッドで眠っていたのなら起きている時に部屋の構造や家具の配置を一度は見ているはずなのに、眠気でそれどころではなかったのだろうか。


『……兄弟の部屋？』

「ああ、あいつらが昔使ってた部屋だ。綺麗に掃除してあるだろ？」

『部屋を借りなくても、その辺に寝かしておいてよかったのに』

「んなことしねえよ。それに懐かしい気持ちになれるしな」


有り難いが、きっと、絶対、裏がある。何せイタリアがああなのだ。彼もずっと笑顔を貼り付けていて気味が悪いし、安心した隙を狙ってくるかもしれない。

兄弟の部屋と言ったが、アメリカやカナダのことで合っているのか不安になる。彼等も凶暴化していたらどうしよう。こんなときこそヒーローの出番。でも彼は遅れて登場するのにこだわっているし、その間の被害者の気持ちを考えるような頭はない。駄目だな。

玩具とぬいぐるみが飾り棚にこれでもかと配置されていて、こんな彼でも育児は真面目にしたようだ。これもまた随分とカラフルな色の部屋。壁も床も天井も男児が好むだろうものになっていて私には似合わない。

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