壊れた地球【ヘタリア2Pカラー】

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「そんなに見つめてどうしたんだ？もう一回ハグするか？」

『あれハグだったのか……』

「気持ち悪。帰ったんじゃなかったの」


猫の威嚇のような彼の態度にも、ピンク色の彼は心から嬉しいと言いたげな笑顔で応えてみせる。


「お前がここに入るのは見たんだが、途中で見失っちまって。だから帰ろうとしたとこに丁度お前とAがいるのが見えたんだ」

「お前を撒く為にここに入ったんだよ。付いて来ないでって言ってるじゃん。脚切り落とそうか？」

「ははは！反抗期みたいで可愛いな」


恐ろしい脅迫にも怯まず笑っている。けど本気で切断されそうだ。イタリアの顔をした彼は型からナイフを取り出した。

あまりにも場違いすぎる。今すぐに帰りたい。けど私の家ってないんだよな。もうどうしろっていうんだ。どうにもならなすぎて泣く涙も枯れてしまう。


「なんだよ、湿気た顔して。ほら、カップケーキやるよ」


生活に欠かせない衣食住の半分以上手元に無ければ疲弊しきった顔になる。バレない程度に彼を睨んだが、その手には二つのカップケーキが乗せられていた。フリルのついたリボンでラッピングされていて、包まれているから中はあまり見えないが、売り物にできそうなくらいだ。

折角の親切心だし、糖分で癒やされよう。カップケーキに手を伸ばした。しかし、イタリアの顔の彼が、その手を振り払う。


「いらない。カラスにでもやれば」


捨てるなんて勿体ない。いや、少なくとも私は食べたい。けれど少しでもそんな反抗心を見せてしまえば、私の首が胴体と別れを告げる羽目になってしまうだろうな。話す権利の剥奪だ。


「そうか……残念だ。嫌いな味だったか？家には他のスイーツもあるぞ」

『スイーツ？』


思わずその単語に反応してしまう。するとギロリと射て刺すような視線を感じる。

……反応しちゃダメなやつだったか。気を付けるから刺さないでくれ。

でも言い訳させてほしい。目が覚めてからまるで悪夢でも見ている気分なんだ。友人は乱暴に。家は灰に。会議会場は荒れ果てた姿に。

私の反応を見るなり、ピンク色の彼はにんまりと、子供のような表情をしてみせた。イギリスの顔なのにあどけなさが残っていて、可愛いと思ってしまう。


「じゃあ俺の家に行こう！みんな歓迎するさ」


ぎゅっと彼は私の手を握り、私は先を行く彼の後を転び掛けながらも付いて行く。イタリアの顔の彼は、来ないのか。

ナイフが飛んできそうで、ガラ空きの背中は汗ばんでいる。

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