壊れた地球【ヘタリア2Pカラー】

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これが夢ではないことは、案外簡単に認められてしまうのだが、寝て覚めて現実がこうなっているなんて、それはどうにも受け入れ難い。

何があったのか。私が寝ている間に、世界には何が起きたのか。イタリアもどうしてこうなっているのか。酷い悪夢なら覚めてほしい。


「元からこんな世界だったよ。お前の住んでるとこと違って当たり前じゃん」

『……地理的な話？まあ気候と環境に差はあるけど、ここまでの落差は可怪しいって』

「本当に何も分かってないんだね。無知って楽そうでいいなあ」

『それってどういう＿＿＿』


隣の彼の方へ顔を向けると、視界の端に何か映ったのが見えた。

物というか、色だ。引くほど目立つピンク色。

何だ？と思い振り返ると、なんとそれは人の形をしていて、更にはこちらに走ってきていて、驚いたことに髪がピンク色なだけでなく服も似通った色をしていて、その上とてつもなく目一杯の笑顔であり、とにかく、一瞬での情報が多い。そして怖い。

勢いはそのままで、その人物はこちらにぶつかってきた。そしてハグのようなプロレス技を決めてきて、次には首を絞めてきた。


「A！！帰ってきたのか！！」

『誰！？？痛い！！死ぬ！！離れろ！！！』

「うわっ！なんでいんのきっっしょ！！まだいたのお前！！」


現場の全員が大声を上げる奇怪な状況。肋折れたかも、超痛い。首も折れそう。息出来ないなんてもんじゃない。

あだ名もしくは代名詞にピンクと言われてもいいだろうその人物は、数秒首を絞め付けた後巻き付いた腕を漸く離してくれた。隣の彼もそうなのだが、出会い頭に息を止めようとするな。


「きもっ。撒いたと思ったのにまだ付いてきてたの。きも」


なんだが凄く嫌われているが……誰なんだこいつ、個性しかないし一体どんな顔をしていんだと、ピンクの彼に目を合わせた。

目は、合わなかった。

自然と、その、上の、眉に目が移ってしまう。


「どうした？腹が減ったのか？」

『違うけど……その…』


眉が、濃い。

顔面が、完全に彼だ。

皮肉屋で、素直じゃなくて、ツンとしていて、朗らかな笑みを一切浮かべなくて、自らを紳士と名乗っていて、そんな、そんな友人が、いる。

イギリス。

この人イギリスの顔してる。


「だって嬉しいだろ！お前のことずーっと待ってたんだからな！」


他人を鼻で笑っていた彼の顔で純粋な笑顔を作られると、普段とのギャップで、しかもピンクで、えええ。何。イタリアといい彼といい。

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