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初対面というのもあり、気不味い沈黙の中、長い長い廊下を歩く。
なんか、変だ。この廊下。
所々壁が崩れかけていたり、ひび割れていたり、災害にでも遭った後を連想させる姿だった。床に穴が空いているのも見かけた。何かあったのだろうか。
周りを見渡す程、ここは現実か疑う気持ちが強くなる。
仕事仲間である眉の濃い友人は、魔法が使えると聞いたことがあった。彼の仕業ではないと思いはするが、あまりに不思議な風景の為に今なら信じられそうだ。
「行動がうるさい。俺に聞くことも出来ないの?」
『うる……ごめん、逆に質問してもいいの?』
行動がうるさいって何だよ、キョロキョロしてるのが子供っぽいって言いたいのか。ストレートすぎる物言いに、傷付くよりも内心苛立ちを覚えた。顔似てる癖に誰だよ。イタリアの優しさを見習え。
……彼も一応イタリアではあるのか。
「そわそわされるよりまだマシ。何聞きたいの」
『二つ…いや三つくらい聞きたいんだけど…』
「ムカついたら無視するし。聞くだけ聞けば」
太陽の如く眩しさを放つトマト好きの彼だったら「こいつ何やねん」とか言ってしまいそうだが、友好的、本当に、腹立つが、ここは我慢。命には代えられない。
歩き続けた廊下にはいよいよ終わりが見え始めた。真っ直ぐ進んだ突き当りには、大きな観音開き扉。存在感をこれでもかと露わにして待っている。
『じゃあ……私の家が無いって言うのは……』
嘘だよね?そう付け足そうとした矢先。彼が中々の重さがあるだろう扉を片手で開いてみせた。
同じ顔の彼は非力な為に出来ないことを、彼は安々としてみせるので驚いた。
いや、本当に驚いたのはそこじゃない。
「確か燃えて灰になったから潰れたんじゃないっけ?俺は見てないけど、これ見たら信じるでしょ」
真っ直ぐ伸びる煉瓦の道。金属製の門口。脇に添えられる程度の植物。設備は完璧な館。
それら全てが崩落していた。
荒れ果てた、世界の終わりを見ているのか。地面は凹凸が酷く瓦礫もそこら中に落ちていて、戦場の跡地を連想させる。設備以前の問題だ。
「言っとくけど俺が変わったんじゃないよ。お前がこっちに来たんだ」
意味が分からなかった。けど説明しろと言ったところで面倒だと言われるのが目に見える。
目の前の光景が衝撃的すぎて、落ち込む気にもなれなかった。茫然としていて、気分は浮きも沈みもしない。ストンと内容が理解出来る。ある意味これもショック故だろう。
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夏(プロフ) - A_sariさん» 感想をありがとうございます✨🥹話の進め方が不安定で大丈夫なのかと自問自答することもありましたが、励ましの言葉で自信がつきました!💪神にはまだまだほど遠いと思っておりますが、ご愛読なさってくださるよう全力で取り組んでいきます🥰 (4月30日 7時) (レス) id: ebedb84d25 (このIDを非表示/違反報告)
A_sari(プロフ) - 2p小説ってなんてこう…神な作品ばっかりなんでしょうか??私、主様の2pの小説すごい好きで、上手くまとまりがあって見ててとても楽しいです!!これからも頑張ってください!👍 (4月30日 7時) (レス) @page11 id: e3f60134f8 (このIDを非表示/違反報告)
夏(プロフ) - チョコさん» コメントありがとうございます!!😭😭褒め言葉のオンパレードで泣きました。優しいお言葉を本当にありがとうございます🥹2p小説少ないですよね……個人解釈にすぎませんが、イメージ通りの2p達を描けるよう励んでいきます✨💪 (3月22日 18時) (レス) id: ebedb84d25 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ(プロフ) - 夏さん新作最高です…!!!アナザーの小説全然ないので本当にありがとうございます!!!!😭😭😭もう話し方とか性格とか解釈一致だし、読みやすいし面白いので大好きです💕これからも応援してます!ご自愛ください👍️ (3月21日 22時) (レス) @page3 id: 99327877d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏 | 作成日時:2024年3月15日 20時