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突如体に衝撃が走り視界がぐらりと揺れる。首元が苦しい。顔が無理矢理上を向いているようだ。
「最高の嫌がらせだね。やったのは……ああ、アイツかな?ほんっとウッザい」
胸ぐらを掴まれていると理解したのはその声を聞いた後だった。いや、正直理解出来ていない。何何。何。どうしたの。
『…あ、人違い?声で分かると思ったんだけど』
「声までそっくりじゃんか。本当に最悪」
何だ何だ。イタリアが怖い。そんな、女性みんな大好きという認識が間違っている筈ないのに。私が女性に見えてない??だとしたらかなり心にくるが、彼の言葉からしてそうではないようだ。
疑問符で埋め尽くされた頭。え、イタリアだよね?と何度も再確認する。逆光と部屋の暗さでぼんやりとしているが、顔付きは完全に彼だ。間違える筈がない。
穴が空くほどにその顔を見つめていると、掴まれていた服が解放された。身長差が僅かにあったから、少々落下するような感覚と、喉が襟で絞まり空気の道が狭まっていたことにより、咳き込みが止まらない。
「気持ち悪い。本気で気持ち悪い」
しゃがみ込んで息を整えていると、彼が何かを手にしたことに気が付いた。
一体何なのか顔を上げて見てみると、金属製の、短剣。恐らくナイフだろう。
…………ん?
『は!?待て待て落ち着け!!』
殺す気か!??嘘!?頭狂ってんのか!??
しゃがれた声を振り絞って訴えるも虚しく、高く掲げられた片腕を、彼はこちら目掛け精一杯振り下ろした。
やばい。これはやばい。本能が逃げろと全神経に命令する。
刃先が落ちてくる数センチ前に、全力で躱してみせた。ただ横にずれただけだが汗がどっと流れてくる。アクション映画みたいだな。んなこと言ってる場合か。
『なんで!?私だって!!分かんない!?』
「うるさい。喉裂くよ」
『物騒なこと言わないで…!頼むから、冗談はやめよう。え、本当にイタリアだよね?』
あまり現実的ではないが、同じ顔した別人という考えが浮かんできた。イタリアと最もよく似た顔をしているのはロマーノだが、彼のようにはとても見えない。というか、あの兄弟はこんなことしない。絶対にだ。
狙い直しに彼は数歩後ろへ下がる。部屋から廊下に出るのを見ると、廊下の照明がその顔を明らかにする。
やはりイタリアの顔だった。しかし、見慣れた顔にはどこか違和感もあった。似ているけど、少し違う。
どこだろう、命の危機を前にして、呑気に首を傾げた。死ぬぞ。
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夏(プロフ) - A_sariさん» 感想をありがとうございます✨🥹話の進め方が不安定で大丈夫なのかと自問自答することもありましたが、励ましの言葉で自信がつきました!💪神にはまだまだほど遠いと思っておりますが、ご愛読なさってくださるよう全力で取り組んでいきます🥰 (4月30日 7時) (レス) id: ebedb84d25 (このIDを非表示/違反報告)
A_sari(プロフ) - 2p小説ってなんてこう…神な作品ばっかりなんでしょうか??私、主様の2pの小説すごい好きで、上手くまとまりがあって見ててとても楽しいです!!これからも頑張ってください!👍 (4月30日 7時) (レス) @page11 id: e3f60134f8 (このIDを非表示/違反報告)
夏(プロフ) - チョコさん» コメントありがとうございます!!😭😭褒め言葉のオンパレードで泣きました。優しいお言葉を本当にありがとうございます🥹2p小説少ないですよね……個人解釈にすぎませんが、イメージ通りの2p達を描けるよう励んでいきます✨💪 (3月22日 18時) (レス) id: ebedb84d25 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ(プロフ) - 夏さん新作最高です…!!!アナザーの小説全然ないので本当にありがとうございます!!!!😭😭😭もう話し方とか性格とか解釈一致だし、読みやすいし面白いので大好きです💕これからも応援してます!ご自愛ください👍️ (3月21日 22時) (レス) @page3 id: 99327877d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏 | 作成日時:2024年3月15日 20時