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「いいじゃんかよ〜！！」
声がした方向を見ると、小麦色の肌の男の子が隣の男の子に何かを言いながら肩を組んで入ってくるところだった。
入学初日にこんな大声出せるの、絶対陽キャだろと私は顔を歪ませて大声を発した本人を見た。
どうやら2人は私と近い席らしく、こちらの方向に歩いてくるのが見えた。
「…あれ」
透き通るような白い肌、印象的な目の下のほくろ。
何か見覚えがある。
その男の子が私の左斜め前の席につきながら、横にいる大声を出す男の子に『ダメだってば』と笑いながら宥める横顔を見て私はピンときた。
「…あ」
あの時の、自販機の男の人だ。
同い年だったんだ。
まさかこんな出会いがあるなんて、と驚いている私をよそに2人は会話を終えたらしく、小麦肌の男の子は私の左隣の席に座った。
そして少し視線を感じたかと思えば、左側から『ねえ』と声がした。
自分に話しかけたのか確信が持てなかった私は、ちらっと左を見ると小麦色の肌の彼と目が合った。
「…はい」
そう答えれば、私が返事をしたことに満足したのかニッと笑って彼は言った。
「俺、イドンヒョク。名前なんていうの」
急な自己紹介に戸惑った私は、質問の意味を理解した後『ユンAです』と答えた。
「Aって呼ぶね、よろしく。俺のことはなんとでも！」
いきなり呼び捨てかよと思いながら、『はは、よろしく』と返すと前の方から声がした。
「馬鹿って呼んであげて」
声の主を見ると、あの日自販機の前で会った彼だった。
「おい、変なこと吹き込むなよ」
慌てるドンヒョクくんに『ごめんごめん』と思ってなさそうな謝罪をすると、私の方を見て言った。
「俺はイジェノ。よろしくね」
「あ、ユンAです。よろしくお願いします」
ジェノくんっていうんだ、と名前を知ることができて少し嬉しくなった私は頬を緩める。
「はは、そんな堅苦しくなくていいのに。よろしくね、Aちゃん」
私の敬語にそう笑って言ったジェノくんは、あの夏のように私にふわっと微笑んだ。
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作者名：きなこもち | 作成日時：2023年2月9日 19時
