あの夏の君の微笑み (ページ11)

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「こんなとこで何してんの、早く入りなよ」

そう声をかけられた私たちは後ろを見ると、ドンヒョクとジェノくんが一緒に歩いてくるところだった。

「記念すべき初対面は無事終えたんだね」

ジェノくんはニコニコ笑ってそう言った後、ジェミンくんに近付いて何か耳打ちしていた。

「何も言ってないって、大丈夫」

ジェミンくんがジェノくんを宥めるようにそう言って、じゃあボタン押すね、とインターホンを押した。

音を立てて扉が開いてロンジュンの顔が見えたと思えば、私たちを見て不思議そうな顔をして言った。

「なんか遅いと思ったら、みんな揃って何してんの」

「あー、顔合わせ？」

ジェミンくんがへらへらとそう答えると、ロンジュンは『暑いんだから早く入れよ』と私たちを入れてくれた。

そして階段を登り、ロンジュンの部屋に入るや否やドンヒョクが大きな声を出して言った。

「ジャジャーン！俺、アイス買ってきたぜ〜！」

どれどれ、と4人でドンヒョクの持っていた袋を覗く。

ドンヒョクは二種類買ってきたらしく、袋の中にはふたつの色が混ざっていた。

俺はこれがいい、俺はこれ、と次々に選んでいく。

最後には違う種類のものがひとつずつ残っていた。

「…あ」

取っていないのは、私とジェノくんだけ。

ジェノくんはアイスをちらっと一瞥した後、私を見て言った。

「Aちゃん、先にどうぞ」

「でも、ジェノくんは」

「俺はどっちでも食べられるから気にしないで」

少し気が引けたが、アイスも溶けてしまうし、せっかくそう言ってくれてるからここはジェノくんのお言葉に甘えて先に選ばせてもらうことにした。

「ありがとう」

私がそう言えばジェノくんはふわっと微笑んで『どういたしまして』と言った。

その笑顔があの夏の日のそれに重なって何故か顔を俯けたくなった私は、自分の足元にある袋を覗いて彼に伝える。

「私、ジュース買ってきたから良かったら一番に選んで」

「え、いいの？」

私の提案に犬のように目を丸くさせたジェノくんが可愛くて、小さく笑って『もちろん』と返せばじゃあこれにする、とブドウ味の炭酸飲料を選んだ。