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星を見るのが好きだ。"昔"からそうだった。
母や父といたくなくて、あるいは施設を抜け出して。外で星を眺めるのは、ただ綺麗なものに身を委ねている感覚がして好きだった。街明りで星などほぼ見えなくても好いものだった。
この世界で一番感動したことはと聞かれたら、5年間生きた今ならとりあえずこう答えるだろうというくらいには。
「きょうもほしがきれいだ」
目が覚めてしまった深夜。こっそり抜け出してゴミ山に体を横たえる。
頭上に輝く星は前世とは比べものにならないほど数が多く明るい。初めて見たときなど、もう、どう表現していいかわからなかったほどだ。
――恐ろしいほどの星空を見れたこと。
それが今のところ、今世何よりの感動である。
星を眺めながら手を伸ばす。
本能のようなもので特に意味はない。意味はない、のだが、思うところはある。
掴めないもの。手を伸ばしても届かない。伸ばす気すら起きないほど遠い気持ちになる。今生における兄のはなし。ドンキホーテ・ドフラミンゴ――ドフラミンゴお兄様について。
原作を知っているせいで苦手意識は確かにあった。あった、のだ。過去形。
元より過去が描かれていた時点で思うところのあるキャラクターではあったのだが。今目の前でその状況下にある彼を見て、自身で同じ体験をして、どうして苦手だとか言っていられようかというはなしだ。
覚悟してきた私ですら過酷極まると思う。それを、今の彼が、彼らが受けたらどうなるかなんて。同情なんてされたくないタイプだろうが、それでも思わずにはいられない。
そこまで考えてため息を一つ。
伸ばしたままの小さな手を握り締めようとしてやめた。星は掴めないと知っている。
「……私、きらわれてるんだよなあ」
自業自得でしかないのだが、苦手意識を持って接していたせいで進行形で嫌われているのが最大の問題だった。あとプライドが高すぎるのも今の私には厳しい。
せめて好かれていれば手を伸ばして掴むことだってできたのに。現状であの小さな体(今の私が言えたことじゃないが)を、ロシーお兄様のように抱きしめ慰めようとしたところで振り払われるのがオチだ。原作も現実も知っているからわかる。
泣きたいことは知っている。泣けないことも知っている。
だから手を伸ばしたいのに、振り払われることまで知っているから。
どうしたものかなあと考えて、この後私を探しにやってきた彼に手を伸ばしかけまたひっこめたいつも通りの深夜。
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月世見(プロフ) - 風雅さん» あああああ！誤字報告ありがとうございます！何も考えず平和の方で打ってました…！それから好き、応援してると言って頂けて嬉しいです。既にアウトな気がしますが長期的に恥を晒さずに済んでよかったです……。コメントありがとうございました！ (2019年10月9日 23時) (
レス) id: 09706e1165 (このIDを非表示/違反報告)
風雅(プロフ) - 好きです。応援してます！あとONE PIECEではないでしょうか。更新待ってます！！ (2019年10月9日 18時) (レス) id: 0b2ef933c6 (このIDを非表示/違反報告)
月世見(プロフ) - 半分ニートガールさん» 初めまして。いい作品だなんてそんな……！お褒めの言葉有難うございます！ナマケモノ以下の更新速度ですが頑張りたいと思います！コメントに応援までありがとうございます！ (2019年9月25日 0時) (レス) id: a2c77cdfae (このIDを非表示/違反報告)
半分ニートガール(プロフ) - あああああ！！本っ当にいい作品です！！更新頑張ってください！応援しています！ (2019年9月24日 18時) (レス) id: 94956eabef (このIDを非表示/違反報告)
月世見(プロフ) - アヤさん» 最高と言って頂けてとても嬉しいです！これからもそう言って頂けるようなお話が書けるよう精進していきます…！コメントありがとうございました！ (2019年9月24日 14時) (レス) id: a2c77cdfae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月世見 | 作成日時：2018年9月12日 23時
