森鴎外─後日談─ ページ6
付き合い始めて一年が経った。
私は、今は森さんでは無く、鴎外さんと呼んでいる。
探偵社の皆にはかなり止められたけれど、鴎外さんの事を話せばぽかんとして、今では楽しそうに話を聞いて呉れる。
この間は治君に揶揄いのネタにされたと鴎外さんに少し怒られてしまったくらいだ。
「疾くしなさいよリンタロウ!」
「ああ!待ってよエリスちゃ〜ん」
「鴎外さん早く早く!」
「柚君も早いね?!」
いつもと変わらない休日だけど、今日は少し特別だ。
三人でお出掛け。
でも今日は其だけじゃなくて、ずっと行こうと誘われていた、式場を見に行くのだ。
「此処もポートマフィアの傘下でねぇ。私が使う事は無いと思っていたのだけれど…迚も良い処と評判なのだよ」
「そうなんですか?」
周りを見回せば、成程確かに、鴎外さんに対する接し方は余りにも丁寧だ。
矢張りポートマフィアの首領たる由縁だろう。
「あの…其にしても厚遇され過ぎやしませんか…?」
「まぁ歓迎されていると思えば良いさ」
「柚!見てこのドレス!とっても綺麗よ!」
エリスちゃんが元気に部屋のドレスを見て回る。
私も一緒に見て、その中でも特に気に入ったものをエリスちゃんと鏡の前で合わせてみる。
「宜しければ試着してみますか?」
そう云われ、着てみる事にした。
流れで、鴎外さんにも着て貰う。
私は少し時間が掛かったけれど、戻った時部屋に既に居た彼には、驚愕した。
迚も、格好良かったから。
エリスちゃんもおめかしして貰っていて、迚も愛らしかった。
「…嗚呼、綺麗だよ、柚君」
「鴎外さんも、凄く…素敵です」
付き合って一ヶ月で、初めて接吻をした。
付き合って半年で、エリスちゃんの秘密を知った。
そして付き合って一年。私は、鴎外さんの事をもっと知りたいと思う。
「…鴎外さん」
「何だい?」
「愛してます」
好きから大好きに。大好きから愛してるに。
私達の距離は少しずつ、少しずつ縮まっていく。
「…柚君」
「はい?」
「無事に結婚式を挙げられたら、どうか私の事は鴎外では無く、林太郎と呼んで呉れないか」
真剣な顔。
頬に添えられた手。私はその手を取り、擦り寄って云う。
「鴎外さんが私の名前を呼び捨てにして下さるなら、そうします」
「嗚呼、そうしよう」
「あ、結婚しても探偵社は辞めませんからね?」
「判っているよ」
くすくすと笑い合う。
そして、エリスちゃんと三人で誓う。
家族として愛し合う事を。
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ゆ - 読み終わった!ちゃんと全ルート書いてくれるの神ですか?神ですね。好きです。ありがとうございました! (8月4日 16時) (レス) @page11 id: c79aedafe2 (このIDを非表示/違反報告)
アスパラガス - 本当にこの話大好きです!二年前くらいに、もう既に読み終わっていたのですが、いてもたってもいられなくて、もう一周読んでいました…!ある意味中毒。何回読んでも大好きです!これからも頑張ってください!応援してますよ! (2022年5月30日 0時) (レス) @page11 id: 3c601836b6 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 読み終わった……はぁ……すき、ほんと好きだわ、あんこの書く話。何回ニヤニヤさせられたか…ww (2019年12月20日 15時) (レス) id: b09f89d760 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - 完結おめでとうございますー!初めて読ませて頂きましたが、ほんっとにきゅんっとさせられました笑しかも全員のオチを書くという神対応!書くの大変だったと思います!これからも頑張って下さい! (2019年6月1日 11時) (レス) id: 8f1f373125 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - のっちさん» 遅くなってすみません!のっちさんありがとうございますー!!!精一杯走り抜けてまた新作考え中です!笑 また是非お見掛けしたら読んでやって下さいませー!お互い頑張りましょう!!御愛読、ありがとうございました! (2017年7月15日 7時) (レス) id: baffe8ba31 (このIDを非表示/違反報告)
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