妹。101 ページ8
驚いた表情で固まってしまった風見さん。
パクパクと何かを言いたげに口が開閉するが、結局その口から言葉が発される事は無かった。
暫しの沈黙の後、風見さんがつと私を見て深々とお辞儀した。無論突然頭を下げられた私は慌てる。
「かか風見さん?!」
「有難う。君のお陰で部下を死なせずに済んだ。何処から彼の情報が漏れたか未だに判明していないが、君が居なければ本当に…兎に角、何かあれば我々は全力で君を護る事を誓おう」
「はひゃ………」
手を握られ真摯な瞳を向けられる。その真っ直ぐな強い光に見惚れて思わず赤くなると陣平が今までに無く素早く私と風見さんの手を引き剥がした。
風見さんの力強い無骨な手が離れた事を少し残念に思った自分が居た。
「すいませーん、コイツ守る役なら俺が居るんで」
「……確かにそうだな。出過ぎた事を言ってしまったか。だが我々公安の捜査官の命に関わった重要な立ち位置に居る彼女の情報が漏れればいつ誰が狙うか分からない。厳重に注意を頼むぞ」
「んなの充分わあってますよ」
陣平は今まで先輩に対する態度の悪さで怒られなかったのか?余りにも普通に会話しているものだから衝撃を受けながらぽかんとした。
「風見さん風見さん、折角ですし今行こうとしてる店でなんか食べて行きません?皆良い?」
「俺は構わないが…風見は仕事とか大丈夫なのか?」
「時間自体はありますが…これから所用を済ませ次第東都に一旦帰りますので…。柚さんも、またの機会に東都で会えたら宜しく頼む」
「わ、忙しいんですね…って、良いんですか!じゃあ連絡先渡しておくので気が向いたらまた連絡下さい!番号登録ってしても構いませんか?」
裏に電話番号を書いている仕事用の名刺を渡して言えば、風見さんは「勿論だ」と言いながらさらさらと手帳に数字の羅列を書いて私に渡した。
「それは私の番号だから登録は自由にしてほしい。私も君の番号は私用の端末で良ければ登録しておく」
「はい!ありがとうございます!お仕事頑張って下さいね」
にこりと微笑んで去って行った風見さん。
風見さんまじで良い人だなぁと思いつつ手を振って見送った後、不機嫌そうな陣平に手を掴まれて先程行こうとしていた店へ向かった。
抹茶菓子はめちゃくちゃ美味しくて、兄の写真を撮ったりしながら笑っていたら気付いたら兄の機嫌は直っていた。
……何だったんだろう。
それにしても、景光君と研二君は店員さんに何聞いてるのかな。険しい顔。
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明菜 - あんこさん» ありがとうございます! (2018年12月22日 10時) (レス) id: 3d7672005c (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 明菜さん» 回答遅くなり申し訳ございません!梓ちゃんと夢主ちゃんは親友と言うよりは互いの良き相談相手という感じです! (2018年12月21日 13時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
明菜 - 質問ですが突然でごめんなさい。お話しの中では梓ちゃんと夢主ちゃんは親友ですか? (2018年12月15日 23時) (レス) id: 3d7672005c (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - あんこさん» やったあ!!!待ってるね!!!!! (2018年11月30日 22時) (レス) id: b09f89d760 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - かりんとうさん» りょかりょか!これ完結させたら多分きっと書くから待っててな!! (2018年11月30日 13時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
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