妹。133 ページ41
あれから、宮本と佐藤は俺たちに協力的になった。
少しは自分の心配しろっての、なんて言いながらも実の所かなり助かっている。
宮本は巡回でよく柚に会うから兄である俺には言ってくれない様な近況報告もして貰えるし、欲しい本やら服やらのリサーチも可能。
景光や降谷、工藤邸に居候する沖矢昴という男よりも萩原と共に一歩リード中である。
最近は沖矢昴のアプローチが気になるし、降谷は“安室透”として割と頻繁に会う為、その点においては不安要素だ。
「そういや萩原」
「ん?」
「お前いつ告白すんだよ」
グフッ!と変な声がした。噎せたらしい。
げほげほと咳をし、若干涙目になりつつ「藪から棒に何だよ」と言う。心做しか顔が赤いのは噎せたせいなのか、照れているからなのか。きっと両方だ。
「この間告白してきて良いかとか聞いた割に二週間くらい経つのに告白した気配ねぇし。一昨日泊まりに来た時いつもと変わらなかったし昨日の電話もいつもと変わりなかった。まだ誰も告白してねぇみたいだな」
「兄はそうやっていつでも確認出来るから良いよなぁ!何か最近妙に緊張して連絡出来ねぇんだよ!」
「癪だが柚が寂しがってたぜ」
「五秒待って」
コンマ数秒とも言える早さで端末を取り出し、俺の数え五秒きっかりでメッセージを送信する。
元とは言え伊達に爆弾処理班をしていた訳じゃない。手先はコイツも器用な方だ。
「あっ!!」
「何だようるせぇ」
「どうしよう…柚ちゃんへのメッセージ家族に送っちゃった…」
「ン゙ッ!突然やめろや…!」
顔を背けて笑いを耐える。萩原が慌ててメッセージを消そうとしていたがビシリと固まった。どうやら間に合わなかったらしい。
もう駄目だった。めちゃくちゃ笑った。
「お前もいざという時に誤爆して上司に『好きだ』とか送っちまえバーカ!!」
「ガキか。つか俺はメールで告白より面合わせて告白するわ」
「若者とのカルチャーショック受けるからやめようぜ」
「…だな」
何とも形容し難い空気になり、二人して担当事件の書類を手に取った所で、俺と萩原の端末が同時に一度、俺のみもう一度、メッセージを受信した音を鳴らした。
同時にという事はグループだろう。一度顔を見合わせ開いてみると、それは降谷からだった。
『柚に告白した』
先を越された。
端末を軋ませながらも、もう一つの通知を見る。妹からだ。
『零君に告白された』
実に簡潔な文だった。相当混乱している様だ。
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明菜 - あんこさん» ありがとうございます! (2018年12月22日 10時) (レス) id: 3d7672005c (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 明菜さん» 回答遅くなり申し訳ございません!梓ちゃんと夢主ちゃんは親友と言うよりは互いの良き相談相手という感じです! (2018年12月21日 13時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
明菜 - 質問ですが突然でごめんなさい。お話しの中では梓ちゃんと夢主ちゃんは親友ですか? (2018年12月15日 23時) (レス) id: 3d7672005c (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - あんこさん» やったあ!!!待ってるね!!!!! (2018年11月30日 22時) (レス) id: b09f89d760 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - かりんとうさん» りょかりょか!これ完結させたら多分きっと書くから待っててな!! (2018年11月30日 13時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
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