妹。116 ページ23
数日後。私は零君に呼び出されてポアロに来ていた。
零君からの連絡は珍しく、少し早めに起きてきっちり言われた時間に行けば、ポアロのエプロンはまだ付けずに椅子の修理などをしている彼が居た。
外からコンコンと窓を叩けば扉を指差す。開いているから入れという事だろう。
入ると、零君が修理を終えた椅子を元に戻して私を座らせた。
「悪いな、呼び出して」
「別に良いけど…どうしたの?」
安室透じゃなくて良いのかな、とか思ったけど今は人も多いし外にも別に声は届かないし構わないか、と自己完結し会話を続ける。
最初は普通に話していたけどふと秀一さんの話になった。
「彼は本当に赤井じゃなかったのか?あの後何もされていないか?この間からヒロがお前の話をしているんだが何かしたのか?」
「ちょ、ちょ待って質問攻め待って零君!一個ずつ!」
手で制して一つずつ考えながら答える。
あれはシャーロキアンの沖矢昴という大学院生でFBIの赤井秀一とは全く関係が無いという事
あの後はマカデミー賞を最後まで見させて貰ってからもう遅いし折角だからと泊まらせて貰った事
景光君の使ってる変声機を作った人がこの間零君が言っていたのを聞いてあの隣の家の阿笠さんだと分かったと伝えて一緒にお礼に伺ったからだと思う事
二つ目を答えた時に酷く蒼煌して肩を掴まれ「本当に何もされていないんだな?!」と言われて「えっ?!うん!布団めちゃくちゃフカフカだった!」と返せば弛然とした表情を浮かべた。
しかし直ぐ真顔に戻った。
「零君もしかして…心配してくれたの?」
「…当たり前だろう。若い女が付き合ってもいない男の家に泊まるんだ。何か無いかと心配しない筈が無い」
「まさか!昴さんは優しいからそんな心配される様な事しないよ〜!ご飯も美味しいし!」
あははと笑えば零君が怒った顔をする。…なんか地雷踏んだ?
動揺しながらもウメボシは勘弁して下さいと思っていたらウメボシでは無く頬を潰された。それはもう豪快に。
頬ギチギチってこんなに痛いの初めて知ったっていうかほんとにめっちゃ痛い。
「お前は昔から鈍すぎるんだ。俺たちに囲まれて過ごして来たから致し方無いのかも知れないが、何故人の悪意を見定められるのに好意には気付かないんだ。頼むからもう少し男に対する警戒心を付けろ」
「へーくんいひゃい……」
「本当にあの男とは友人なんだな?」
頷けば、満足気に撫でられた。
その時の目は何だかいつもと違って見えた。
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明菜 - あんこさん» ありがとうございます! (2018年12月22日 10時) (レス) id: 3d7672005c (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 明菜さん» 回答遅くなり申し訳ございません!梓ちゃんと夢主ちゃんは親友と言うよりは互いの良き相談相手という感じです! (2018年12月21日 13時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
明菜 - 質問ですが突然でごめんなさい。お話しの中では梓ちゃんと夢主ちゃんは親友ですか? (2018年12月15日 23時) (レス) id: 3d7672005c (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - あんこさん» やったあ!!!待ってるね!!!!! (2018年11月30日 22時) (レス) id: b09f89d760 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - かりんとうさん» りょかりょか!これ完結させたら多分きっと書くから待っててな!! (2018年11月30日 13時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
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