ツンデレ91 ページ41
「おい」
「はい？」
雨の降る街中で突然声を掛けられる。
誰だろうと振り向けば傘を差し不機嫌そうな中也君。
「はっ、随分と情けない顔だなぁ柚。如何したよ手前。いつもはもちっとゴリラみてぇな凛々しい顔してただろ？」
「誰の所為だと思ってんだか…」
ニッと笑う中也君。
あー、もういやー。察したから云わないでー、云うなー
「俺達の所為、だろ？」
「無駄にいけぼにしないで耳が弱る」
探偵社に戻ろうと歩き出したらカツカツと僅かに低くしたヒールの音が鳴る。
独歩君に云われた通り低くしたら本当に歩き易くて助かってる。
云って呉れた独歩君には感謝だな。
「なぁ柚。探偵社に戻る間の時間少し寄越せ。歩きながらで良い」
“なに？”と歩きながら問う。
中也君は、短く呟いた。
「みつめたる石を拾ひて投げてみる此の我が心空虚を覚ゆ」
「え？」
「……好きだぜ？」
見詰めてしまった。
余りに儚い表情をしていたから。
余りに、傷付くのを恐れる顔をしていたから。
そんな顔されたら、迚も困る。
「あれ？如何したんだよ柚」
場違い過ぎる奴が来た。
げっそりしながら其方を見やる。
「あー立原。今は俺が話してんだろ。失せろ」
「良いじゃないっすか！俺だってこのゴリラ……あ、厭、何でも…」
睨むと大人しくなった。
少しの間沈黙が訪れる。
すると不意に立原君が歌う様に私に云った。
「夢みたものは ひとつの愛
ねがつたものは ひとつの幸福
それらはすべてここに ある と」
「……真似すんなよ…」
「二人して詩的だね？」
思わず笑ってしまう。
ギロッと睨まれてしまったので目を逸らす。
「あ、着いた。じゃあね〜」
誤魔化す様に私は見えて来た探偵社に走って行く。
入る前に一応振り向いて“またね”と云っておいた。
我ながら偉いと思う。
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────────────
「……何で気付かねぇかなぁ…」
「考えるだけ無駄だ立原。強く生きようぜ」
「ｳｨｯｽ……」
中原中也
生前発表詩篇
初期短歌『去年の今頃の歌 95』
立原道造
優しき歌�� �勝慳憾�たものは』
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果鈴 - めっちゃ面白かったです。テスト期間なのに夢中で読んじゃったです (2019年9月30日 17時) (
レス) id: 5b8fccba8f (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 葡萄シャーベットさん» 葡萄シャーベットさんありがとうございますー！落ちは中也さんも太宰さんも全員分書かせて頂きますー！！！気長にお待ち下さいませ！ (2017年6月24日 14時) (レス) id: baffe8ba31 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 傀儡さん» 傀儡さんありがとうございますー！！落ちは全員分書かせて頂くので！遅筆、雑文ながらに頑張りますので気長にお待ち下さいませ！！ (2017年6月24日 14時) (レス) id: baffe8ba31 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 妃薫。さん» 妃薫。さんありがとうございます！！落ちは中也さん含める全員分書かせて頂くつもりですのでお待ち下さいね！！ (2017年6月24日 14時) (レス) id: baffe8ba31 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 鶴夜さん» 鶴夜さんありがとうございます！神では無いですよー！！笑 落ちは全員分書かせて頂くので気長にお待ち頂けたら幸いです！ (2017年6月24日 14時) (レス) id: baffe8ba31 (このIDを非表示/違反報告)
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