もう少し優しくなれませんか皆さん【文豪ストレイドッグス】

ツンデレ90 ページ40

「如何だイ？良いもんだろう」

与謝野さんに服を着せられナオミちゃんに化粧をされる。

鏡の前に立つといつもとは全く違う自分が居て、目のやり場に困ってしまう。

そして其の侭彼等の前に出される。

「………あの……」

固まってしまう彼等。

いつもの様な憎まれ口が投げ掛けられる事はなかった。

「可愛い」

ふと誰かから零れ落ちたその言葉。

其につられる様にして皆が、褒めてくれた。

照れくさかった。

「柚、少し軍警に遣いを頼みたいのだが構わぬか」

「はい、勿論です！」

あ、でも服…。

ちらりと与謝野さんの方を見たら、ナオミちゃんに目配せしていた。

当のナオミちゃんは私の服を持っていそいそと何処かにしまいに行ってしまっている。

私はお借りする事にして、其の侭社長に云われた場所に向かった。

「……あ、あれかな」

そっと近寄り“武装探偵社の遣いの者ですが、依頼された軍警の方でしょうか？”と声を掛ける。

人違いを私はよくするのだが今回は間違っていなかった様だ。

安心し乍ら依頼内容と詳細の書類を預かる。

矢張り軍警からの依頼は灰色仕事が多いものだ。

「帰ろ」

軍警の皆さんを送った後に探偵社に戻る。

道中で商店街を通ったが、店のおばちゃんに“今日は珍しくスカァトなのねぇ”って云われた。

そして何の伏線を回収したのか、エリスちゃんが現れた。

「あら、柚じゃない！如何したの？可愛い服着てるわね！」

「あはは、有難うエリスちゃん。所で森さんは？」

「知らない！ずっと服屋ばっかり行って西洋菓子を買って呉れないんだもの！置いて来ちゃったわ！」

…………ん？

何かこの場所のこの台詞デジャヴ……。

何時聞いたっけ……えっと…。

「エリスちゃーん？何処だいエリスちゃん！」

「少し困らせたいの！何処に行ったか云っちゃイヤよ？」

そう云ってたたっ、と走って行ってしまうエリスちゃん。

んん〜〜〜〜〜〜〜〜？？？？？？

「何処に行ったんだい？出て来ておくれエリス〜」

「あ、森さん」

「おや、柚君。エリスちゃんを知らないかな、気付いたら居なくなっていてねぇ…」

「………あの、勘違いなら良いんですけど、此処って…」

“嗚呼、懐かしいねぇ”と云い乍ら私に近付く森さん。

気付けばエリスちゃんが戻って来ていた。

………何かの伏線が立った気がする。

「……うん、私の元へ来ないかい？仕事では無く、生涯的に」

「えと…お返事は…待って下さい…」

…えらい事になった。

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