困り事2つ目 ページ3
「あっ！諸伏さん！ご飯ご一緒しても構いませんか？」
挨拶を交わしてから数時間後。結はすっかり景光に懐いていた。
「うん、いいよ。零も良いよな？」
「勿論」
「ありがとうございます！お隣失礼しますね」
景光の隣に座り、「いただきます！」と手を合わせる少年の皿に盛られた料理を見る。自分の皿と見比べてもかなり少ない。
「結」
「はい？」
「夕飯それだけか？随分少ないな」
「そうですか？これでも沢山盛って頂いたんですけど…」
困ったような顔をする彼に、景光が「少食なのかな。それだけだと体力持たないだろうし、明日から少しずつ量増やして沢山食べれるようにしよっか」と穏やかに話しているが、それにしたってその量は少なすぎるだろう。
「でもぼく、そもそもご飯を食べない日があるのに比べたら、今日はよく食べてる方なんですよ。本当に。これ以上はやばいです吐きます」
「は？」
「ご飯を食べない日がある？その成長期の身体で？」
「ええと、何か怒って…うひぇっ？！？！」
「細い細いとは思っていたけど、は？細すぎる、なんだこれは？？は？？細い通り越して薄いじゃないか。折れそう。意味が分からない。生きてるか？」
「生きてますね？？」
箸を置いてがっしと結の腰を掴む景光。信じられないとばかりの顔をしながら言い募る姿に、自分も立ち上がって机を回り込み一言声を掛けてから彼の腰に手を回す。
驚く程薄かった。
「いやいやいやいや。え？？内臓入ってるかこれ？」
「胃も腎臓も肝臓も脾臓も全部ちゃんと入ってますね？」
「あああああああ」
違うそうじゃない。なんだろうこの話が通じない感じ。キレそう。
不思議そうな顔をしたまま先程連続して鷲掴みにされ擽ったそうにお腹を撫でる彼を横目に景光と目を合わせ、頷く。少年の食育を決意した瞬間である。
手始めに、如何せん少なすぎる食事量をなんとかしよう。
「結、これを食え」
「え」
「いいね、じゃあこれも食べようか。オレ追加で貰ってくるね」
「頼んだ、景」
ニコニコ笑顔から一転、顔を強ばらせる少年。「でもほら既にこんなにいっぱい入ってるし」などと自分の皿を見せながら言い訳を始めようとした所で帰って来た景光が「お待たせ！さぁ結くん！吐くまで食うぞー！」と追加で皿を持って来た。
「ちょっと白米もらってくれたりとか」
「「しない」」
「つらい」
もう無理だと言うまで食わせたが、矢張り相当食べられる量は少なかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1488人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
侑(プロフ) - ついに親友公開と爆処組に真実を、！！高木ほんと優しい…萩と松田も…更新楽しみにしてます！！ (2022年6月6日 5時) (
レス) @page45 id: 8afc6fd8a6 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - とても面白いです。更新頑張ってください❗ (2022年5月6日 18時) (レス) @page33 id: b70e4d72d6 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - またの更新楽しみにしています！ (2022年5月2日 19時) (レス) @page33 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
れぃと(プロフ) - おっ…!?ついに､ついにか……!? (2021年7月5日 22時) (レス) id: 40283c6b11 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - 夢主くんは幸せにして欲しい… (2021年7月4日 23時) (レス) id: b4c500a793 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
