困り事9つ目 ページ10
「今日の夕飯にはオレたち居ないけど、きちんと沢山食べるように！明日の朝何を食べたか聞くからメニュー記録しておいてね！お兄ちゃんとの約束！」
そう言って指切りげんまんをした景くん(ぼくの事何歳だと思ってるの？)は、研二くんたちと合コンに行った。「ぼくも行きたい！」と言ってみたら、二人は「一緒に行こうな…」なんて言ってくれたけど、理性ある大人の降谷さんと松田さんが二人を「未成年を飲み屋に連れて行くな」だとか「そもそも合コンの人数合わなくなっちまうだろ」だとか言われて、結局置いて行かれる事になった。
食事を一緒にするとか、そんな特別親しくしている人が彼らしか居ないものだから、久し振りに一人で食べる夕飯はなんだか寂しく思った。
持ってきたトレイを置き、ふと気付く。母さんたちが食べ終わるのを待たないと。今日は機嫌が悪いのかな、まだリビングに来ないみたい。椅子に座り数十分待っていると「ねぇ、ちょっと…食べないの？具合悪いの？」と恐る恐る声を掛けられた。あ、そうか。母さんたちは居ないんだった。
「あっ！わ、えへへ、ぼんやりしてました。声を掛けてくれてありがとうございます！」
「そ、そっか、気を付けてね。じゃあ私行くから、…いっぱい食べてね」
「はい！」
優しいお姉さんだけど、気まずそうに微笑んでいたのはどうしてかな。まぁいいか。お椀を手にする。全く減っていない、湯気の立っていない、慣れ親しんだお味噌汁を飲み込んだ。
「うん、おいしい」
慣れた温度。いつもの様に、冷ます必要のない、最適な温度。
ただ少し、物足りない。
…いけない。ぼくはいつの間にこんなにも贅沢になってしまったのか。ロクデナシ同然じゃないか。頭を振り、またご飯を口に入れる。
幾つかの動きの繰り返し。食事とはそういうものだ。そういうものだったんだ。
早く帰って、あの家でまた過ごさなければ。そうでなければぼくはきっとあのあたたかさに焦がれてしまう。もっともっと焦がれてしまう。それはいけない。
……？あれ？母さんも父さんも家族は皆ぼくを愛してくれる。ぼくも皆を愛してる。そうだ。だから、家族も皆あたたかいんだ。あたたかい。
「はず、なんだけど」
食事の手が止まる。ここで研二くんや景くんが居れば「あらら、もう少し頑張れる？」なんて言って、ご飯を食べさせてくれる。少し熱くて、美味しいご飯。
初めてだった、笑い溢れるご飯の時間。
ああ、もう駄目だ。ぼくはもうロクデナシだったんだ。
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侑(プロフ) - ついに親友公開と爆処組に真実を、！！高木ほんと優しい…萩と松田も…更新楽しみにしてます！！ (2022年6月6日 5時) (
レス) @page45 id: 8afc6fd8a6 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - とても面白いです。更新頑張ってください❗ (2022年5月6日 18時) (レス) @page33 id: b70e4d72d6 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - またの更新楽しみにしています！ (2022年5月2日 19時) (レス) @page33 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
れぃと(プロフ) - おっ…!?ついに､ついにか……!? (2021年7月5日 22時) (レス) id: 40283c6b11 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - 夢主くんは幸せにして欲しい… (2021年7月4日 23時) (レス) id: b4c500a793 (このIDを非表示/違反報告)
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