第十話 ページ10
意識を取り戻した時、私は沖矢さんに抱き締められていた。
「えっあぅ…え…ぎゃあああああなになになになにこわいなに？！ごめんなさいごめんなさいあなたがFBIで偽の姿でちょっとネタにしたいなとか考えてごめんなさい知ったのは不可抗力なんですうううう！！！」
厚い胸板を押しどけ逃れ、土下座する勢いで頭を下げていたらくすくすと笑う声が聞こえ、恐る恐る顔を上げると、私の知らない声で「君は面白い体質をしている様だ」と言われた。
「怖がらせてしまって申し訳ない。俺も命がかかっているもので、こういう輩を警戒せずには居られなくてな。こっちに座ると良い。お詫びに菓子でも出そう」
「普通警戒する人間を自分の住む家に上げる訳ないだろ…元々警戒してなかったなありゃ」
私は頭をクエスチョンマークで埋めながらも明美さんから概ねの事情を聞いた。「信じて貰えて良かった」と涙ながらに笑っているのを見て、取り敢えずあの声の事を聞いてみる。
ヒロさんが「あれが地声だよ」と言うから地も偽も良い声かよギルティ…と歯噛みした。
ていうか今私の周りめっちゃ声良い奴しか居らんくない？つらたん。私のゲスボ目立ってまうやんお前らも来世でゲスボになってしまえ。
「そういえば沖矢さん…私は何故抱き締められていたのでしょう…」
「…やはり憑依の間は意識の共有が無いらしいな。いや、すまない、感極まったとは言え年頃の女性にするものではなかった」
「役得だったのでそれは良いんですけど…ん？え、憑依？信じてくれてるんですか？」
「ああ。普通の女子高生が知り得ない情報が多く出てきたのだから信じるしかあるまい」
どんな情報だと思ったが、知らぬが仏と考え直し、詳しく聞かない事にした。
ところで、とふと声を上げる彼が興味深そうに他にも霊は居るのかと尋ねてきたから素直に交流を持つ霊たちの名を答えればホー、と梟の様な返事が来た。
とりあえず病院すすめられなくて良かった。
「それにしても、君はその彼等がずっと見えていたのか？」
「あ、それがつい最近なんです。…あれ、もしかして一昨日？」
「一昨日だね」
「私の順応能力褒め称えて良いよヒロさん」
などと話していたら、沖矢さんは覚悟を決めた様な声音で「彼と少し話をさせて貰って構わないか？」と言った。ヒロさんを見れば「身体、借りても良いかな？」と真剣な顔で言うから頷いて、彼が私の腕に手を伸ばし、透けた腕が体内に入ると同時に意識が摘み取られる様に途切れた。
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ますしん - なかなか無い素敵な小説ですね！続きが気になります！これからも応援してます！！ (2019年11月7日 0時) (
レス) id: 46f80c1807 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月6日 0時) (レス) id: f826ed1a12 (このIDを非表示/違反報告)
コーヒー牛乳 - すごく面白いです！繰り返し読んでますw更新楽しみにしてます！応援してます！ (2019年5月23日 23時) (レス) id: a8a10a0263 (このIDを非表示/違反報告)
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