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第六話 ページ6

松田さんの恋が余りにも切なくて、どうしてあんな事件が起きたんだ、なぜ二人を殺したんだと怒り心頭に発したが、もう捕まった犯人を怒っても仕方が無い。

しかし、怒りが顔に出ていたようで母に窘められた。だってと言い訳をする。

「どんな事情があれ、復讐心に苛まれて関係ない人を殺したにも関わらず、亡くなった人は明日を迎えられないのに犯人は明日を迎えられる事がなんか、世の中の不条理だなって」

「アンタ急に悟るわね」

「柚ちゃん…」

二人が同時に声を発する。私はどう答えるか迷って一言呟いた。

「ごめん、憎しみや復讐心なんて爆発させるものじゃないなって思っただけ」

毎日の様に見る事件のニュースを指し、厨房に入った。洗い物が溜まっている頃だろうから。

またフロアに出た時、あの刑事?の二人が居て、萩原さんが少し楽しそうに笑っていた。女の刑事さんと目が合うと同時に彼女は微笑んで「お勘定お願いできる?」と言った。

親子丼二つの会計をした所で不意に「ねぇ」と声を掛けられ、顔を上げる。

「出来れば答えて欲しいの。貴女にとって、人の命を脅かすことは許すべからざる悪?」

生意気ではないかと心臓が縮まる思いがしたが、意を決して答えた。

「善悪は私の感情では決められません。情状酌量という言葉の通り、その人にも耐え難かった事情があります。よって、一概に殺人者と言っても悪とは決めてかかれません。…但し、憎しみや復讐心から関係の無い人を巻き込むのは許すべからざる悪だと、私個人の答えとさせて頂きます」

目の前に居る二人がぽかんとして、それから顔を見合わせて酷く優しい顔をした。

大して広くない店の中がシンとして、数拍置いてわっと盛り上がりを見せる。

「流石昔から警察関係の常連客が半数以上を占める朝倉屋の看板娘!俺の若い頃にそっくりだ!」

「ちょ、酒臭いです寄らないで!」

「…ねぇ、貴女名前は?」

「えっと…?柚…あ、朝倉柚です」

「朝倉さんね、覚えたわ。私は佐藤美和子でこっちが高木渉。二人とも刑事だから何かあったら頼ってね。電話番号渡しておくから良かったら登録しておいて」

素早く手帳に番号を書く佐藤さん。

ビリリと破いて私に手渡された数字列はなるほど確かに携帯電話の番号と同じような感じだ。

「それじゃあご馳走様。また来るわ」

ぱちっと片目を瞑り、軽やかな足取りで店を出るお二人と、賑わう店内。

私の頭上で誰かが口笛を吹くのが聞こえた。

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ますしん - なかなか無い素敵な小説ですね!続きが気になります!これからも応援してます!! (2019年11月7日 0時) (レス) id: 46f80c1807 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月6日 0時) (レス) id: f826ed1a12 (このIDを非表示/違反報告)
コーヒー牛乳 - すごく面白いです!繰り返し読んでますw更新楽しみにしてます!応援してます! (2019年5月23日 23時) (レス) id: a8a10a0263 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あんこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月6日 17時

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