第十八話 ページ18
翌日。土曜日の朝。いつも通り朝食の後、今日は休みだからと部屋に上がる。SNSの監視と録り溜めたアニメを見るので忙しい午前を過ごし、昼には両親に呼ばれ手伝いをして、落ち着く14時頃に昼食。その後また部屋で遊んで16時頃また店に出る。
その最中に夕食を済ませて、夜には朝方4時までアニメを見るというルーティンがあったのだが、2時前になってヒロさんが耐えきれないとばかりに「寝ろ」と言った。
「やだー！昼まで寝るんだ！！！」
「ダメだって！肌に悪いだろ？！」
「女子か！」
くどい！と振り向いた瞬間、ヒロさんや他の皆の身体が大変グロッキーな事になっていて、初めて見るレベルのリアルで恐ろしい姿に声にならない悲鳴が上がる。
ハギさんが言葉を失う私の反応を見て、時計を見て「あちゃぁ…」と言う。当の彼は腕も目も片方無く、臓物や筋肉や骨らしき物が腹から胸から飛び出していた。金縛りの様に身体が固まり、動けない。
「そっか、いつもは寝てたから知らないよな。俺たち2時から3時を過ぎるまで何故か死んだ瞬間の姿になるんだ。丑三つ時の力ってやつかなぁ」
同時にパァン！というラップ音。きっとこれは銃声だ。この音を皮切りに、私は「出てって」と顔を覆い叫んだ。
少し待つとペンの置かれる音がして、恐る恐る目を開けると彼等の姿は無く、机には一枚のメモが置かれていた。
『これに懲りたら早く寝るように。
ごめんな。 H』
少し癖のあるHの文字。これを書いたのはきっとヒロさんだ。
怖くて溢れそうになっていた涙が引き、申し訳ない事をしてしまったと酷く罪悪感を覚えた。
「…寝よう」
どの道もうアニメを見てニヤニヤできる状態ではない。
布団に潜り込み、瞳を閉じた。
たった数日で馴染んでしまった彼等の居る生活がこんなにもアッサリ無くなってしまうなんて。
私は一人っ子だから兄や姉が出来た様で嬉しかったのに。
……幾ら経っても眠れなくて、嫌になって目を開ける。その瞬間、目の前に眼窩の抉れた血塗れの男が見えて慌てて目を閉じる。耳障りなざわざわとした彼等では無い声と、この人たちが死んだその瞬間に聞いたであろう音がラップ音として部屋に響く。
私はベッドの脇に置いてあるイヤホンをガッと掴んで布団の中で操作して好きな曲を周りの音を遮断する音量で聴く。
そして、いつの間にか意識も音も消え、気付けば朝だった。
その日の昼、心無い事を告げ追い出してしまった事を彼等に謝るべく、私は家を出た。
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ますしん - なかなか無い素敵な小説ですね！続きが気になります！これからも応援してます！！ (2019年11月7日 0時) (
レス) id: 46f80c1807 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月6日 0時) (レス) id: f826ed1a12 (このIDを非表示/違反報告)
コーヒー牛乳 - すごく面白いです！繰り返し読んでますw更新楽しみにしてます！応援してます！ (2019年5月23日 23時) (レス) id: a8a10a0263 (このIDを非表示/違反報告)
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