one day... (ページ12)

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・Convey side_You. ページ12

横峯先生の目的もわからないまま、

…もしかしたら目的とかないのかもしれないけど病院から近くのお店に来ていた。

やっぱり目的なんかないのか、患者さんのこととか、最近の悩みとか、そんなことを話しながらしばらくご飯を食べてた。

「で、倉橋先生！」

いきなり、横峯先生が私の方を見るから、ビクッと肩が上下する。

「な、…んですか、」

と、今度はいきなり横峯先生に両肩を掴まれた。

いつものような笑顔じゃなくて、少し真剣な怖い顔。

誰かにこんなに勢いよく触れられたことはないし、随分久しぶりで驚いて、体が強ばる。

「あのさ、倉橋先生は、いーっつも私たちのことを助けてくれて、もうダメだって時に手を差し伸べてくれるじゃん」

横峯先生、酔っ払ってるのかな。
その割には、目が真剣で逸らせない。

「……なんかね、同期のはずなのに、…倉橋先生の顔見ると、なんか、…なんだろう、安心するんだ」

最初の真剣な怖い顔はどこへやら、横峯先生のいつもの笑顔に戻っていた。

「今日ね、森嶋先生がミスしてるのを見て、何でかわからないけど安心した。…森嶋先生でも苦手なことあるんだなって」

「なにそれ、…私の失敗が嬉しいの？」

そんなわけないことはわかってるのに、刺々しい言葉が口をついて出てしまった。

ただの、照れ隠しだった。

「そうじゃなくて、…そうじゃないけど、倉橋先生にだって、失敗することとか…怖いこととか、あるから、……私たちでも森嶋先生にしてあげられることがあるかもしれない、力になれるかもしれないって思った。
…だから……えっと…」

純粋に、嬉しかった。

横峯先生の気持ちも、横峯先生にとっての私の存在も。

横峯先生の言葉に嘘があるようには思えなかったからこそかもしれない。

「だから、上手く言えないけど……」

「何かあったら、頼って欲しい。…」

口ごもってしまった横峯先生の言葉を、灰谷先生が引き継いだ。

いつもはそんなこと言わない灰谷先生の思いがけないストレートな発言が心に刺さる。

灰谷先生は、優しいんだな。

驚いたけど、素直に嬉しかった。

「…あ、……いや、……その、みんな、そう思ってて、…だから、」

「わかってるよ、…ありがとう」

どういう訳か、目頭が熱くなった。

涙が零れそうになってシーリングライトを見上げる。

「……で、去年、何があったんだよ」

小さく息を吐いた。