どういうわけか、煉獄さん。3【煉獄杏寿郎】 (ページ34)

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「好き。A、好きだよ。」

『っ、』

あぐらをかきながら俯く岩倉に、どうしたらいいのか分からないA。

「あ、あの、」

炭治郎も、Aに任務の報告ができずに困っていた。

(ん？この匂いは、)

!!!

(ま、まずいぞ!!!)

炭治郎のみがそれに気づきAに伝えようとしたが、もうそれは、

「A、応援要請ご苦労であったな！」

遅かった。

『き、杏寿郎さん?!どうして、』

岩倉に羽織を掴まれたままのAは身動きが取れずに焦っていた。

「うむ！俺のところにも応援要請が来た！が、君が向かったと聞いて、大丈夫だろうとは思っていた！」

どうやら近くの柱たちに応援要請がなされたらしかった。

『そ、そうでしたか、』

すると、

「む？A、そちらは！」

Aの羽織を掴む岩倉に気づいた煉獄は、腕を組みながらいつも通りの表情で訪ねた。

『あ、か、彼は私の同期の岩倉由宇さんです。えっと、』

Aでさえこの状況を理解できない上に、煉獄に誤解を招いてしまいそうな状況に、Aは涙が出そうだった。

すると、パッと岩倉の手が離された。

Aがホッとしたのも束の間、岩倉は立ち上がり煉獄を見据えた。

「俺、Aが好きなんだ。」

見ている炭治郎も冷や汗タラタラだ。

(れ、煉獄さんの匂いが、尋常じゃない、。怒り、あぁ、俺だけじゃこの状況はなんともできない、！)

「でもさ、」

岩倉が続ける。

「まだ俺弱いから、ちょっと鍛錬し直してくるよ。好きな女に守られてばっかで、さすがにかっこ悪いから。だから、」

Aの後頭部を引き寄せて、その額に接吻をした岩倉を、今にも斬りかかりそうな殺気で見ている煉獄と、ただ驚くばかりで反応できないA。

「強くなったらまた、迎えにこさせてね。A。」

去り際、Aの耳元で岩倉は、

"ありがとう。"

と囁いた。

途端にフラッシュバックする、鬼殺隊に入りたての自分たち。

-頑張ろうな！

-ええ、何があっても生きていきましょうね。

-うん、死ぬなよ。

-岩倉さんも。

あの誓いから数年、同期はもう半分以上亡くなった。

去っていく岩倉に、Aは拳を握りしめて叫んだ。

『"何があっても、生きていきましょうね!!"』

岩倉は手を上げ、そのまま去って行った。