同期と動機 ページ30
「おっ！Aじゃね?!」
任務地につくと、柱以外にめずらしく名で呼ばれ思わず振り返った。
すると、
『・・岩倉さん？』
最終選別で同じだった同期組に再会した。
岩倉と他の３人は、ヒョイッとAに近寄ると、囲むようにして話し始めた。
「覚えててくれてんの？嬉し。にしてもすっかり"柱"だなぁ！ま、A昔からめっちゃ強かったもんな！」
ニコリと笑顔を向けられて、
『岩倉さんも、ご無事で何よりです。』
とAも微笑んだ。
「ねぇA。」
隣同士を歩いている最中、岩倉さんに話しかけられて隣をチラリと見ると、あの頃より背が伸びた彼に見下されて、時の流れを感じた。
『はい、なんですか？』
岩倉さんは懐っこい。階級も甲で、強い。明るくて強い彼は同期以外からの信頼も厚いようだった。
「ねぇ、炎柱の嫁になったって本当？」
鬼殺隊は数が多い。故にまだまだ事実を知らない隊士もたくさんいる。
Aは一瞬キョトンとすると、
『？ ええ、今は煉獄Aになりました。』
と、柔らかい笑みを岩倉に向けた。
その瞬間、何故か彼に、抱きしめられていた。
?!
あまりの急な出来事に反応が遅くなったが、
『岩倉さん、？困りますよ。』
と、あくまで泰然自若に努めた。
しかし抱きしめられる腕はキツくなるばかり。
『ちょ、苦しいで、す。』
少々の攻撃はやむを得ないと思った瞬間、
「どうして炎柱なの？、俺、Aを守ろうと思って、強くなったつもりだったのに。俺、Aがずっと好きだよ。最終選別で出会った時からずっと。」
、
抱きしめられて、告白されている。
『離して、ください、』
けれど手荒な真似は、やっぱりできない。したくない。
(どうしよう、)
と思っていると、
「おいおい、派手な真似してんなァ？」
と、宇髄さんの声がした。
次の瞬間、
『わっ、』
宇髄さんに片手で持ち上げられ、岩倉さんと間を取る形になった。
『宇、髄さん、ありがとうございます、』
小さな声でお礼を言うと、
「優しすぎか、お前はよォ。派手に拒否れや。」
と、口元を綻ばせながら、額に軽く拳を当てられた。
『、ご、ごめんなさい、』
眉を下げて私が苦笑いした瞬間、
「音柱ー？邪魔、しないでよね。」
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作者名：anna | 作成日時：2021年11月19日 11時
