こんな時、君がいてくれたら ページ23
3日間の任務が、明ける。
(ああ、会いたい。)
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いつからか、帰る理由ができた。
最初は弟。
そして今では。
嫡男としてしっかりしなければならないという責務はいつしか、皆で幸せになる為に強くありたいという意志に変わっていった。
-『杏寿郎さん、私もおりますよ。』
眠れない夜に、君が俺を抱きしめた。
その言葉と温もりが、俺をより一層抱きしめる。
Aと家族になれて、良かった。
君の安否に肝を冷やす日も幾日もあるが、それでも、誰かを想える、君に好きだと言える毎日は幸せだ。
「さて、Aは今日退院だったな。」
(蕎麦に連れて行く約束を果たそう。)
「煉獄様！負傷者はおりません!!任務ご苦労様でした!!」
隠が跪き、煉獄は顔を上げる。
「うむ！皆ご苦労！では、解散!!」
言うや否や立ち去った炎柱を見て、隊士達は、
「なあ。」
「何。」
「炎柱様、嬉しそうだったな。」
「ああ。羨ましい。羨ましすぎる。」
「だな。月柱様みたいな人と祝言あげてーな。」
「無理だろ。」
「だよな。分かる。」
「炎柱様みたいな男もなかなかいないぜ？」
「だな。抱かれてもいいわって思う瞬間ある。」
「分かる。夫婦って、」
「「いいよな。」」
顔を綻ばせた。
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「今帰りました!!!」
朝方、普段は静かに帰宅する煉獄が、開口一番叫んだ。
「静かにしろ杏寿郎！早朝だぞ!!」
どうやら既に起きていたらしい父上にお叱りを受けた。が、前はこうして出迎えてくださる事も名を呼ばれる事もなかった故、嬉しい気持ちが素直にこみ上げる。
「Aさんを、迎えに行くのか？」
こうして、最愛の人を気にかけて下さる事も。
「はい！父上は本当に、Aが好きですね!!」
杏寿郎が笑えば、慎寿郎は眉を歪め、
「お前は、何を言ってるんだ！」
と、少し赤くなった。
「冗談です！ありがとうございます！」
笑う杏寿郎と、
「行くならさっさと行け。お前の事だ、今から行くつもりにしていたのだろう？」
と頭をかく槇寿郎。とそこへ、
「う、、ん、兄上？、と、父上？」
眠そうに目をかきながら、千寿郎が起きてきた。
「千寿郎！起こしてしまいすまない。俺は今からAを迎えに行ってくる。故に朝餉は不要だ！あとは頼んだぞ。」
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作者名：anna | 作成日時：2021年11月19日 11時
