どういうわけか、煉獄さん。3【煉獄杏寿郎】 (ページ12)

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月柱と、水柱ページ12

「もう休め。」

冨岡さんにそう言われ、私は鎮痛剤による眠気で目を閉じた。

『冨、岡さん、なぜ知っていたの、？』

(師範のこと、)

そこでAは意識を手放した。

一人病室で静寂の中佇んでいた冨岡。

(今となっては、俺とお前は似ていないな。)

第一印象は同じ。

"自責と危うさ"。

ある任務で彼女の上官になった俺は、傷だらけのAが蝶屋敷ではなく違う場所に向かったことに疑問を持ち、跡をつけた。

今思えば、彼女に失礼な事をした。

そこで見たのは、

1つの石の前で、まるで赤子のように泣きじゃくるAだった。

冨岡は目を見開き、その光景から目を離すことができなくなっていた。

しかし掛ける言葉もなく、ただ勝手に知り、ただ勝手に立ち去っただけになってしまった。

『、わぁァァァァァァ!!、師範、、!!っ、私も早く、死んでそっちに行きたいです、、だってそちらは、温かいんでしょう？、っ、こっちは、寒いです、っ、』

夏の任務だった。

しかし彼女は"寒い"という。

俺は以降も、彼女の任務を、出来得る限り見守った。

そしていつの間にか、

『月柱、月波Aです。以後、お見知りおきを。』

肩を並べるまでになったお前を、誇らしく、まるで兄にでもなったかのように思っていた。

だからこそ、

『煉獄には、師がいた事くらい、話していいと思うぞ。』

冨岡はAの額に優しく手を乗せたあと、病室を後にした。

(お前は今、幸せなのだからな。)

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次の日、起きると当たり前に冨岡さんはいなくて。

変わりに、蝶屋敷が騒がしかった。

廊下を通り過ぎようとするアオイさんが、起きている私に気がつくと、顔を歪めた。

「月柱、様、」

Aの病室の前で立ち止まったアオイは、時でも止まったかのように、Aと視線を合わせたまま動けなくなっていた。

『アオイさん？どうしたのですか？』

問いかけても、青ざめた顔をするだけだ。

『アオイさ、「炎柱様が、」

アオイがAの声を遮った。

『え？』

なに？

「炎柱様が、朝方運ばれてきて、その、意識不明です、。」

師範。

失くすって、本当に簡単で、

嫌になります。