許しと、許し2 ページ9
「A、」
煉獄が何か言いかけ、
『なので、』
Aが困ったように笑った。
『これからは、その、まだ煉獄さんが私を好いてくださっているならば、えっと、一緒に、感情を取り戻していけたら嬉しいなと、そう思ってはいるのですが、』
煉獄は目を見開き、椅子から立ち上がるとAに接吻を落とした。
『ん、』
唇を離すと
「ああ！もちろんだ！俺はずっと君を慕っている！しかし、君にそう言われると、嬉しいな、」
そう言いながら照れ笑いした煉獄。
それを見たAは胸の奥がギューっと軋み、煉獄の羽織を掴み引き寄せると、もう一度煉獄に接吻をした。
「っ、?!、」
驚く煉獄であったが、次第にAの後頭部に手のひらをあて優しく押し倒すと、
『ん、っ、あ、』
徐々に口吸いとなっていった。
--
顔を赤くした二人が、姿勢正しく向き合う頃には夕暮れが近づいて、雨も止んでいた。
『あっあの、煉獄さん、』
「なんだろうか！」
ドギマギする二人。
『き、今日は任務ですか!!』
「いや、今日は非番だ!!」
しばらくの沈黙。
『では、もう少し、ここにいてもらえませんか、』
俯きながら言うAと、
そのAのあまりの可愛らしさに、口をギュッとつむり髪をピンッと立てながら真っ赤になる煉獄。
(ああ、父上も、母上をこのように愛しく思っていたのですね、)
ベッドに座るAが、病に臥せっていた母と重なった。
『煉獄さん？』
「杏寿郎だ。」
？
Aが煉獄に目を向ける。
そこには、あまりに、あまりに優しく、Aを慈しむような表情で見つめる煉獄がいて、Aは言葉を失った。
『あ、の、』
「杏寿郎、と、呼んではくれないだろうか。」
かつて母上も、父上のことを名で呼ばれていた。
真っ赤になるAが愛おしい。
『あ、その、はい、、、杏寿郎、さん。』
その瞬間、世界の色が変わったように思えた。
「ああ、A。改めて、夫婦になろう。」
蝶屋敷の雨樋からは、雨の残り水がポタポタと、光に照らされながら落ちていた。
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Anna(プロフ) - REI様、コメントありがとうございます。自分としても、そこを気をつけたいと思っておりましたので、そう言っていただけてとても嬉しかったです。これからもぜひ物語を見守ってくださったら有り難いです！ (2021年11月19日 8時) (
レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
REI(プロフ) - 言葉の使い方、文章がとても綺麗でどタイプです(*'ω'*)応援してますっ！ (2021年11月19日 4時) (レス) id: a2d58e6a6b (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - 柚葉様、はじめまして！コメントありがとうございます！同類ですね笑 更新楽しみにして下さっていて嬉しいです！しばしお待ちをー！ (2021年11月16日 18時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 初めまして。生きていてほしかった人でございます。一気に読ませていただいております。更新楽しみです(^.^) (2021年11月16日 15時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - milk様 素敵なコメントありがとうございます!嬉しいです!ワクワク展開にしていけるように精進いたします！ (2021年11月11日 10時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：anna | 作成日時：2021年11月7日 17時
