血は水より濃く2 ページ42
「そうか。」
煉獄が一言呟くと、
「Aさんはご両親に会っておられるぞ。」
いつの間にか千寿郎の後ろに、壁にもたれて腕を組む父、槇寿郎の姿があった。
「ご両親、ですか。」
煉獄は目を少し見開き真顔で応える。
「Aさん、ご両親にお会いできるのですか?!ずっと前に離れ離れになったきりとお伺いしていたのですが、。父上、それは喜ばしい事ですよね?!」
千寿郎は眉を下げながらも、希望に満ちた目をしていた。
しかし父、槇寿郎は、
「いや、」
目を伏せた。
「そのような再会では、ないだろう。」
父のその言葉に、煉獄は思わず口を挟んだ。
「父上、それはどういった意味でしょうか。」
杏寿郎の言葉に、
「蝶屋敷に、怒鳴り込んでいらしたと聞いた。胡蝶の鴉より、うちに文が届いたのだ。しかしうちにAさんが不在だった故に、隠に直接に呼びに行かせた。」
と槇寿郎は眉をひそめ答えた。
「では彼女は今は蝶屋敷に、」
「分からん。」
父が杏寿郎の言葉を遮った。
「実の両親との話し合いとの事、故に俺は出る幕ではないと判断したが、もし万が一彼女の両親の出方に寄っては、出て行ったほうがいいかもしれん。彼女は、Aさんはもう、煉獄家の人間だからな。」
「父上、。」
父がAを認めている。その事実が素直に嬉しかったと同時に、実の両親が彼女に何の話だろうか、と杏寿郎は思った。
Aの話からは、彼女の両親はAを無い者として接した挙げ句捨てたという話を聞いていたからだ。
「父上、俺は蝶屋敷に行ってまいります。」
杏寿郎は父に一礼すると、門に足を進めた。
途中千寿郎が、
「兄上っ、その、Aさんを、よろしくお願い致します、。」
と、目をキョロキョロさせて言うものだから、
「ああ。」
と笑顔を向けた。
(千寿郎も、Aをとても大切に想ってくれているのだな。有り難い限りだ。)
祝言を挙げる話が出た頃から、実はずっと気にはなっていた。
しかし何度両親について訪ねても、Aは、
「いえ、大丈夫です。もうきっと、私は娘ではありませんので、お気になさらず!」
と、苦笑いを浮かべていた。
(そんな彼女を見るのが痛ましく、それ以上俺からは追求してこなかったが、)
それが一体。
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Anna(プロフ) - REI様、コメントありがとうございます。自分としても、そこを気をつけたいと思っておりましたので、そう言っていただけてとても嬉しかったです。これからもぜひ物語を見守ってくださったら有り難いです! (2021年11月19日 8時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
REI(プロフ) - 言葉の使い方、文章がとても綺麗でどタイプです(*'ω'*)応援してますっ! (2021年11月19日 4時) (レス) id: a2d58e6a6b (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - 柚葉様、はじめまして!コメントありがとうございます!同類ですね笑 更新楽しみにして下さっていて嬉しいです!しばしお待ちをー! (2021年11月16日 18時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 初めまして。生きていてほしかった人でございます。一気に読ませていただいております。更新楽しみです(^.^) (2021年11月16日 15時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - milk様 素敵なコメントありがとうございます!嬉しいです!ワクワク展開にしていけるように精進いたします! (2021年11月11日 10時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:anna | 作成日時:2021年11月7日 17時