記憶の中に ページ34
「月柱様は私をいつも名で呼び、どんなに酷い現場でも慈しみを忘れないで闘ってくださっております。」
「足を怪我した私を治療できる場所まで運んでいただいた事があります。あとで聞いたのですが、ご自分の足も折れていたというのに。」
「初任務の時、怖くて動けなかった私のお側にずっといてくださいました。それが本当に、月のようで。」
「人々から酷いことを言われても、恨まず目的と未来のみを見るその姿勢に、何度救われたか分かりません。」
隊士達が次々に口を開き、いつの間にか見渡すと、煉獄に寄りかかるように眠っているAを中心に囲むように皆が手を付き、頭を下げて感謝を伝えていた。
「こりゃ派手にすげェな。」
宇髄がその景色に思わず圧倒されていた。
「うむ、A、君はこれ程までに、守ってきたのだな。すまない、Aが眠っている故に代わりに俺に伝えさせてくれ。 いつも、ありがとう。そして、これからも、生きてくれ。君たちの未来が、幸多からん事を、俺たちは祈っている。」
静かに話す煉獄の表情に、隊士達はみな泣きそうになっていた。
「煉獄、幸を願われるのはお前たちだ。」
「ふふっ、そうですよ?今日は煉獄さんとAさんの祝言なのですから。」
静まり返りすすり泣きの声が響く空気を一掃したのは冨岡であった。
しかしそれは事実で。
「言いたい事があるならAが起きてから言えェ。」
不死川の言葉で、また宴は再開された。
Aは幸せそうに眠っていた。
---------
Aが起きると、目の前には笑顔が溢れていた。まだフワフワする頭故に、
(夢、?)
と思ったが、体が何かに包まれて温かい。
上を見上げると杏寿郎さんが目に入り、その美しさに見惚れた。
(ん?私、、杏寿郎さんの上に、!!)
恥ずかしさのあまり身じろぎすると、
「お!A、起きたか!すまなかったな、君が酒に弱いとも知らずに飲ませてしまって、」
杏寿郎さんが私を見下ろしながら、申し訳無さそうに謝った。
えっと、
私確かお酒を杏寿郎さんに、、
!!!!
口移しを思い出して、羽織にくるまるA。
「ん?よもや、まだ眠いのか?俺がこうしていてやる故に、ゆっくり眠るとよい!」
笑顔で話す杏寿郎さんに、内心
(違う、、)
と、苦笑いした。
131人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「煉獄杏寿郎」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Anna(プロフ) - REI様、コメントありがとうございます。自分としても、そこを気をつけたいと思っておりましたので、そう言っていただけてとても嬉しかったです。これからもぜひ物語を見守ってくださったら有り難いです! (2021年11月19日 8時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
REI(プロフ) - 言葉の使い方、文章がとても綺麗でどタイプです(*'ω'*)応援してますっ! (2021年11月19日 4時) (レス) id: a2d58e6a6b (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - 柚葉様、はじめまして!コメントありがとうございます!同類ですね笑 更新楽しみにして下さっていて嬉しいです!しばしお待ちをー! (2021年11月16日 18時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 初めまして。生きていてほしかった人でございます。一気に読ませていただいております。更新楽しみです(^.^) (2021年11月16日 15時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - milk様 素敵なコメントありがとうございます!嬉しいです!ワクワク展開にしていけるように精進いたします! (2021年11月11日 10時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:anna | 作成日時:2021年11月7日 17時