ハレノヒには貴方と3 ページ31
次にAと顔を合わせた時、
俺は息が止まるかと思った。
着物を召し替えたAは髪を下ろし、
長い着丈を引きずりながらゆっくり歩いてくる。
化粧もほどこされ、いつものあどけなさは見る影もない。ただただ美しい。
見惚れていると宇髄に肩を組まれ、
「煉獄よォ、あいつ派手にいい女じゃねェか!嫁たちが夜な夜なAに似合う着物やら紅やらを話し合ってたからなァ。おっ、こっちに気づいたぜ?どうするよ、煉獄の旦那ァ。」
そう言い残し、宇髄は宴会の席に戻って行った。
Aと煉獄の祝言の宴だが、我が道を行く鬼殺隊メンバーは、すでに宴を始めていた。
俺に気づいたAは顔を赤らめ目を伏せる。
なんとも艷やかなその仕草に、俺は抑揚感が抑えられない。
「A。」
近づき名を呼ぶと、肩をビクッと震わせ、上目で俺を見上げたA。
その後頭部を引き寄せ、
『んんっ、』
深く口吸いをする。
「キャー!!」
「煉獄様!A様の紅が落ちます!」
宇髄の奥方が何やら騒がしい。
煉獄は唇を離すと一言、
「そうか。ではまた後で塗ってやってくれ。」
と、緋色の目で須磨と雛鶴を一瞥すると、もう一度Aに口づけた。
Aは煉獄の着物を握り、
『っ、はぁ、きょ、じゅ、駄目、』
と目を潤ませた。
「キィィーヤァァァァ!!!!」
宴席からちらっと、今日の主役はまだか?と準備の部屋の辺りを見た善逸は、目に入ってきた景色と二人の音に、思わず叫んだ。
「うぐっ!」
その口を宇髄の掌が塞ぐ。
「無粋だぜ。派手に好きにやらせろ。」
髪を下ろし和服で正装した宇髄が善逸に告げると、
「秋なのに、桜の匂いがして不思議だなぁ。」
と炭治郎が笑った。
--
『っふ、、はぁ、、、!!』
煉獄からの接吻が終わると、Aは煉獄を軽く睨み、
『い、いくら杏寿郎さんが格好良くても、人前でせ、接吻は、嫌です!!』
と怒った。
それは煉獄にとってはただ可愛いだけで。
「あっはっは!君に嫌われたくはない!善処しよう!」
と胸を張った。
『もう、また分かってない、、。』
見上げると煉獄があまりにも嬉しそうに笑っていたので、Aも観念して、
『ふふっ、仕方のない杏寿郎さんですね。』
と、笑みをこぼした。
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Anna(プロフ) - REI様、コメントありがとうございます。自分としても、そこを気をつけたいと思っておりましたので、そう言っていただけてとても嬉しかったです。これからもぜひ物語を見守ってくださったら有り難いです! (2021年11月19日 8時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
REI(プロフ) - 言葉の使い方、文章がとても綺麗でどタイプです(*'ω'*)応援してますっ! (2021年11月19日 4時) (レス) id: a2d58e6a6b (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - 柚葉様、はじめまして!コメントありがとうございます!同類ですね笑 更新楽しみにして下さっていて嬉しいです!しばしお待ちをー! (2021年11月16日 18時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 初めまして。生きていてほしかった人でございます。一気に読ませていただいております。更新楽しみです(^.^) (2021年11月16日 15時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - milk様 素敵なコメントありがとうございます!嬉しいです!ワクワク展開にしていけるように精進いたします! (2021年11月11日 10時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:anna | 作成日時:2021年11月7日 17時