秋雨と恋雨3 ページ3
今日はAの任務が終わる日だ。
そう思い、迎えに来たのはいいのだが。
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着流しで、日輪刀を羽織の影に隠しながら、煉獄は店に向かった。
Aは、女中服ではなく、きらびやかな装いをし、手を付き、煉獄を店にむかえ入れた。
その姿を見た他の客が、
「お祐、お前さん水揚げしたのかぁ?」
「俺とにしてくれよぉ!」
とAに声をかける。
Aは立ち上がりながら、
『わっちは花魁ではないでありんす故、ちったぁ静かにしておくんなまし。』
とわざと拗ねたように客に言い放った。
そのまま煉獄と部屋に向かう後ろで、
「いいねぇあの強気な姿!」
「たまんねぇなぁ!」
と、客たちが騒いでいるのが聞こえた。
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部屋にふたりきりになる。
「A、君は随分と人気があるようだな!」
と、煉獄は着流しの羽織に手を入れるように腕を組んだ。
『やめてください。ただの女中に、ここまで熱を上げてくださるのは煉獄さんだけですよ。』
あはは、と苦笑いしながらAが冗談を言うと、煉獄は目を少し見開き、そのまま口を閉ざした。
『?、煉獄さん?っ、』
急に肩を掴まれたと思うと、すごい力で着物を二の腕まで下げられた。
!?
「こ、れは、」
さらしで巻かれたAの身体は所々血が滲み、痛々しかった。
「どうしたんだ!!」
声を張り上げながら目線を合わせる煉獄に、
Aは逆に視線を逸らした。
『いや、遊郭からは出られないですし、まだ仕事が残っていたのでそのまま、』
「そんな事を聞いているのではない!!先日君と会った時傷は完治に等しかった!!それがなぜ故このような、、いや、話はいい。行くぞ。」
言われるや否や、煉獄さんの着流しの羽織をかけられ横抱きにされた。
−フワッ
同時に訪れた浮遊感に、焦る。
『えっ、やっ、私まだ、』
煉獄さんを見上げると、瞳が怒っ、て、
「行くぞ。」
あまりに圧が強すぎて、
『は、い。』
しか言えなかった。
(怖い怖い怖い。)
煉獄に軽くしがみつきながら、Aは心中で何度も唱えるように繰り返した。
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いや、確かに無理はしたよ?
でも、私が怪我したってなったら、店が混乱するでしょ?
なら内緒にしたまま働くしかないじゃん。
痛くても。
なのに、
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Anna(プロフ) - REI様、コメントありがとうございます。自分としても、そこを気をつけたいと思っておりましたので、そう言っていただけてとても嬉しかったです。これからもぜひ物語を見守ってくださったら有り難いです! (2021年11月19日 8時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
REI(プロフ) - 言葉の使い方、文章がとても綺麗でどタイプです(*'ω'*)応援してますっ! (2021年11月19日 4時) (レス) id: a2d58e6a6b (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - 柚葉様、はじめまして!コメントありがとうございます!同類ですね笑 更新楽しみにして下さっていて嬉しいです!しばしお待ちをー! (2021年11月16日 18時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 初めまして。生きていてほしかった人でございます。一気に読ませていただいております。更新楽しみです(^.^) (2021年11月16日 15時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - milk様 素敵なコメントありがとうございます!嬉しいです!ワクワク展開にしていけるように精進いたします! (2021年11月11日 10時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:anna | 作成日時:2021年11月7日 17時