秋雨と恋雨 ページ1
朝日はいつも美しい。
何が起きても、どんな気持ちでも、
まだ自分は生きていて、あまりある命の使い道を再び私に考えさせる。その陽光をもって。
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遊郭での任務も残り3日というところ。
兄上との戦闘で負った傷もだいぶ癒えた。
結局あの日以来、私は女中として働いていた。
煉獄さんと祝言のお約束を結んだ次の日、
要さんが文を運んでくださった。
―――月波A 殿
先日は不躾にすまなかった。
君の任務が終わり次第、
そちらに向かいに参る。
互いに、武運を祈る。
煉獄杏寿郎――――
(煉獄さんって、真面目だなぁ。)
普段が洒洒落落の方だから忘れがちだけれど、煉獄さんはとても誠実な方だ。それ故、期待をもたせるような事を悪戯にする方ではない。
だから、
『祝言、は本当の話なんだよね、。私がするべき事は、残りの3日で少しでも情報を集めること。』
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そして、それは突然にきた。
深夜、片付けを行っていると、廊下の先で、
「ゔっ、だ、れか助け、」
微かに声がした。
Aが日輪刀を握り駆け込むと、
そこには、
先程までいわゆる"間夫だった者"が、変わり果て、三郷姐さんの首を締めていた。
三郷姐さんの口からは胃液が出て、見開いた目が私を映した。
『月の呼吸、壱の型、朝月夜!』
振り上げた刀をよけ、鬼が部屋の隅に寄る。
女中服のまま闘うAに、三郷はへたり込んだまま驚いた表情を向けていた。
「祐、これは、っ、」
Aは三郷の前に立ちはだかり、
『姐さん、説明はあとでいいですか?ね、ほら、早く違う部屋に。』
少し後ろを向きながら、笑顔を向けた。
三郷はガタガタと震えながらも、
「でも祐は、、」
と、Aを心配した。
『私は大丈夫。ほら、行ってください。』
その有無を言わせない笑みに、三郷は小さく頷くと部屋を出て行った。
(さて。)
静かになった部屋。
他の部屋で花魁たちが客と騒ぐ声が、いたるところから聞こえてくる。
誰も、鬼に気づかないうちに穏便に終わらせたい。
「お前のせいで、上物に逃げられてしまったではないか。」
最近、花魁達がこつ然と姿を消している事件が相次いでいた。
花街ではよくある、間夫との夜逃げだと思われていたが、
『君の仕業だったんだね。』
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Anna(プロフ) - REI様、コメントありがとうございます。自分としても、そこを気をつけたいと思っておりましたので、そう言っていただけてとても嬉しかったです。これからもぜひ物語を見守ってくださったら有り難いです! (2021年11月19日 8時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
REI(プロフ) - 言葉の使い方、文章がとても綺麗でどタイプです(*'ω'*)応援してますっ! (2021年11月19日 4時) (レス) id: a2d58e6a6b (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - 柚葉様、はじめまして!コメントありがとうございます!同類ですね笑 更新楽しみにして下さっていて嬉しいです!しばしお待ちをー! (2021年11月16日 18時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 初めまして。生きていてほしかった人でございます。一気に読ませていただいております。更新楽しみです(^.^) (2021年11月16日 15時) (レス) @page39 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - milk様 素敵なコメントありがとうございます!嬉しいです!ワクワク展開にしていけるように精進いたします! (2021年11月11日 10時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:anna | 作成日時:2021年11月7日 17時