己を知る ページ5
しばらく無言でAを抱きしめていた。
彼女はもはや微動だにせず、俺の中にいる状態だ。
それでも君の耳が赤さを失わないことに俺は心底満足していたし、期待に似た何かが沸き起こるのを感じた。
何故自分がこのような行動を取っているのかは、このごに及んでもまだ定かではないが、そうせずにはいられない何かが己に芽生え始めている事も薄々だが気づいていた。
(まさか俺が、特定の女性を―――?)
手探りで答えを出そうと、自分の心の中を勢いよくまさぐった瞬間、胸の奥が強くジンと痛んだ。
「俺はどうやら、君を」
無意識に口走った俺を、下から心配そうに見上げたAが口を開こうとした瞬間、
「「炎柱様!月柱様!」」
どうやら隠方々が、あとの処理に到着したらしい。
柱の無事を確認し安堵する隠たちの目の前には、いつも通りの炎柱と、炎柱の羽織を両手で掴みながら己を抱きしめるようにうつむく月柱の姿が映った。
「つ、月柱様?どうかされましたか?」
「もしお体悪いようであれば私達が蝶屋敷までお運び致しますが、」
次々に投げかけられる隠からの温かい言葉に、Aはうつむいてはいられないと思い、まだ赤さが残る顔で、眉を下げて笑みを向けた。
『皆さん、お心遣い感謝致します。美濃さん、岩崎さん、私は何も問題ありませんので、亡くなった方々を、宜しくお願い致します。あとは、任せました。』
深々と頭を下げる月柱に、その場にいた隠全員が、"この方は、全ての死を嘆いている"と察した。それと同時に心配し、
「で、ですが月柱様!お顔が赤いです、何か、」
と岩崎が続けようとして、
「ああ!すまないな、Aは少し身体が冷えている故に、俺が蝶屋敷まで面倒を見ようと思う!皆、いつもご苦労だ!」
と、煉獄が話を遮った。
煉獄からのその言葉に、隠達全員が、月柱がなぜ炎柱の羽織を身にまとい、顔を赤らめているのかを納得した。
本当は、先程までの煉獄の行為が原因なのだが。
『すみません皆さん、あとは、お願い致します。』
頬を赤らめ苦笑いをするAは大層可愛らしく、煉獄は隠たちからAを隠すよう背を向けると、ちらりと顔だけ振り返り、
「では失礼!」
とAをすばやく抱きかかえて、呼吸を使いその場を後にした。
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Anna(プロフ) - milk様!おまたせして申し訳ないです、。やっと編集できました!ありがとうございます!続編もなかなかの亀更新ですが、何かあればまたコメントお待ちしております! (2022年1月17日 1時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
milk - こんばんは(*^^*) 夜分遅くにすみません。。。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 日常的に変化することのここの部分 ○○←名前が笑顔になると、不死川は怪訝そうにそっぼを向いた。 これ正しくはそっぽを向いた。ではないんでしょうか? (2021年11月9日 0時) (レス) @page36 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - コメントありがとうございます!細やかに読んでいただけて嬉しい限りです!ここは、作者目線の客観的な文章にしたくて呼び捨てにしております!違和感ありますか??他は、夢主様と煉獄さんの主観目線です。基本呼び捨ての場面は客観的だと捉えてもらえたら嬉しいです! (2021年11月7日 8時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
milk - 続けてのコメントですみません(>_<) これさんが抜けてませんか? その前まではずっとさん付けでしたのに…。 (2021年11月7日 8時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
milk - おはようございます(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 胸に炎をのここの部分 ○○←は無意識に、煉獄にギュッと抱きついた。温もりを求めるように。 (2021年11月7日 8時) (レス) @page21 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:anna | 作成日時:2021年10月26日 20時