感情の連れていく先1 ページ18
『兄上っ、私大きくなったら兄上のお嫁さんになりたいです!』
(なんだろう、これ、夢?)
自宅の庭先で剣の練習をしていた兄は、縁側に座っている私に振り向くと、
「ああ!俺も、お前と共に生きられたら嬉しいな!」
と、眩しいくらいの笑顔をくれた。
幼い日の、あの太陽の情景。
(ありきたりな場面なのに。戻らない、あの時間、)
『ふふっ!』
嬉しそうな私に、兄上は、
「お前が笑ってくれるだけで、俺は他は取るに足らん!故に、いつまでも、」
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『っ!』
目が覚めると、
ここは、
『蝶屋敷、?』
私は一体―――――?
あ、
『兄、上っ、』
手を伸ばした態勢で起きた私は、その両手でそのまま顔を覆った。
『、っ、』
涙が、また流れる。
あの夜に散々、泣いたはずなのに。
あの夜の隊士の皆さんのお顔、
煉獄さんの表情、
兄が塵になった場所で、吐きそうなほど、
血と涙を流した私。
――――笑って生きてくれ!
『笑え、ないよ、』
(私が鬼になれば良かった。)
濡れた頬が、ベッドに染みを残していく。
その時、Aは思考を止めた。
『出よう。』
精神病棟にいた時のような感覚が、Aを支配しようとしていた。
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朝方任務から戻ると、蝶屋敷が異様に慌ただしかった。そのヒリつく空気に胸騒ぎがする。
廊下をAの病室に向かい小走りに進むと、彼女の病室の前には、蝶屋敷の女子たちが集い、血相を変えていた。
「よもや!何かあったのか!!」
煉獄の大きな声にカナヲやあおいが振り返ると同時に、あおいが地面に力なく座り込んだ。
「え、炎柱様、、月柱、様が、」
"月柱様が"
その言葉を聞き、煉獄は走ってAがいた病室に入った。
「胡蝶!!」
Aが寝ていたベッドの前で、しのぶが一人、シーツを指先で撫でながら俯いていた。
「Aさん、お兄さんの影でも見たのでしょうか。これを、追えば、分かりますが、」
点滴の針を引き抜いた際にできたと思われる血痕が、Aの進んだと思われる道に点々と残されていた。
「分かった!俺が行く!故に、君は、いつAが戻ってきてもいいように待機してくれないか!」
そう言った瞬間窓に足を掛けた煉獄を、胡蝶が呼び止めた。
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Anna(プロフ) - milk様!おまたせして申し訳ないです、。やっと編集できました!ありがとうございます!続編もなかなかの亀更新ですが、何かあればまたコメントお待ちしております! (2022年1月17日 1時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
milk - こんばんは(*^^*) 夜分遅くにすみません。。。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 日常的に変化することのここの部分 ○○←名前が笑顔になると、不死川は怪訝そうにそっぼを向いた。 これ正しくはそっぽを向いた。ではないんでしょうか? (2021年11月9日 0時) (レス) @page36 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
Anna(プロフ) - コメントありがとうございます!細やかに読んでいただけて嬉しい限りです!ここは、作者目線の客観的な文章にしたくて呼び捨てにしております!違和感ありますか??他は、夢主様と煉獄さんの主観目線です。基本呼び捨ての場面は客観的だと捉えてもらえたら嬉しいです! (2021年11月7日 8時) (レス) id: 6165e310c0 (このIDを非表示/違反報告)
milk - 続けてのコメントですみません(>_<) これさんが抜けてませんか? その前まではずっとさん付けでしたのに…。 (2021年11月7日 8時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
milk - おはようございます(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 胸に炎をのここの部分 ○○←は無意識に、煉獄にギュッと抱きついた。温もりを求めるように。 (2021年11月7日 8時) (レス) @page21 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:anna | 作成日時:2021年10月26日 20時