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01.幼い約束 ページ1
〆．
小さい頃。
あなたが誰か、なんて考えずに笑いあったあの日。
「おれ、Aちゃんのこと好きや！」
「ほんと？」
「うん！やから、けっこんしような！これ、やくそくのしるし！」
幼いながらに、好意を寄せていた彼からそんなことを言われて。
「うれしい……！やくそく！ぜったいだよ！」
手のひらに乗せられた、小さな紙と赤い花の髪飾り。
『Aちゃん
だいすきです！
けっこんしよな！
大毅より！』
覚えたての自分の名前の漢字を、下手っぴな字で自慢げに。
それがたまらなく幸せだった。
その紙は今でも大事に持っている。
十年以上経った今でも、
あなたが次期国王と知った今でも。
でも……あなたは忘れているかもしれないね。
私が返事として同じことを書いた紙なんて
執事か使用人がゴミ箱にでも捨てちゃっているかな。
どのみち身分違いの叶うはずもない恋は、いい思い出として閉じ込めておくに限る。
城下パレードで国民たちに手を振るあなたを見て
痛んだ胸に気付かないフリをして。
〆．
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作者名：はゆな
| 作成日時：2019年8月24日 19時
