異能力【夜明け前】肆

感動の再会 ページ25

目が覚めた。




まず見えたのはぼやけた黒い天井。




目を開け数秒すると見えていなかった小さな汚れやシミもしっかり見えてきた。




そして、聞こえたのは複数の声。




｢あ、目覚めた!!｣




｢え、と、おはよう｣




｢大丈夫か!?｣




身体を起こし声の主を探すとそこにはこの世界にいるはずのない人が居た。




私は咄嗟にその人達から距離をとった。



『な、何故貴方様達が此の世界に居るのですか!?!?』




そう、その人達というのは文アル世界の



田山花袋
国木田独歩
徳田秋声



だったからである。



田山｢俺達の事を…知っているの？｣



『し、知ってるも何も、貴方様達は私が住んでいた世界にあったの携帯型遊戯(ケータイゲーム)登場キャラクターですよ!?』



徳田｢携帯型遊戯？｣



『は、はい、』



私は自分の過去も重ねながら話した。



質問された物にはしっかり返答もして。



徳田｢つまり、君のいた一つの世界に僕達の世界とこの世界の2つが ”創作作品” として存在していた。そして、そのうちの一つの世界に残りの二つの世界がくっついた、と。｣



『難しいけど多分そんな感じです。』



田山｢難しい話分からねー！｣



そう云いながら花袋はバターンｯと私が寝ていたベッドに横になった。



『まぁ、とりあえず貴方様達の仲間を呼びますね』



私はいつも通り願う。



すると私の影から藤村が出てきた。



島崎｢………………心配かけてごめんね｣



藤村以外の3人は数秒固まった後、藤村へ抱きついた。




独歩｢…心配させやがって｣



徳田｢なんなんだよ、本当に、島崎は……｣



田山｢……無事で、本当によかった………｣



皆涙目になりながら藤村に抱き着く。



前世からの仲だ。そんな4人を私が死んでしまった事で離れ離れにしてしまった事。



私は少しその事に罪悪感を抱いた。



そして、目線を下に落とした。



するとふわぁ、と抱き締められた。



それは暖かくて、優しくて、安心するものだった。



島崎｢A。｣



その声はいつもより低くて、でも、いつもより優しくて、安心する。



島崎｢Aのおかげだよ。僕がこの世界に来れたのも。｣



島崎｢僕達が離れ離れになってしまったのは、Aが原因じゃない。僕が望んで此方の世界に来たんだ。Aには感謝してる。｣



『…………ありがとう』

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