異能力【夜明け前】弍

島崎の異能力 ページ8

島崎Aside



目が覚めると見覚えのある部屋の布団に横になっていた。


太宰｢あ、起きたかい？Aちゃん。｣


え？何故太宰さんが…？


中原｢大丈夫か？A。｣


何故中也が…？


『ココは…太宰さんの家？』


太宰｢そう。
昨日深夜、Aちゃんの異能力が暴走したと中也から連絡があったんだ。｣


異能力の暴走…？


太宰｢それで私がAちゃんの異能力を消して連れてきた訳だよ｣


異能力の暴走。


そうだ。


『夢を見た』


中原｢夢？｣


『うん。

満点の星空が広がる宇宙(そら)しかない空間に立ってたんだ。
すると、後ろで透明人間に殴られたり蹴られたりする2人が見えたんだ。

透明人間でかなり強くて…2人が太刀打ちできない程の強さだったんだ。


今考えると2人がそんな弱い訳ではないのにねw


でもその光景をみてとても苛立った。

で、無意識に百人一首の一首を口に出した気がする。そっからは覚えてない』


太宰｢百人一首の一首…｣


なんの百人一首を口に出したかは覚えていない。


中原｢じゃあ百人一首を全部口に出せば分かるんじゃないか？｣


太宰｢それだー！｣


えっ？えっえっ？


太宰｢百人一首分かる？｣


『覚えてはないです…
あ、でも1つなら完璧に覚えてます』


中原｢それはなんだ？｣


『《君がためをしからざりし命さえ
長くもがなと思ひけるかな》』


意味は


《いつ死んでもいいと思っていた
君に会うまでは。君に会えた今、いつまでも、君と居られたらと僕は願っている》



恋の唄だ。


知った時の私の状況ととても似ている。


そして、丁度文ストを知った時だった。


だから余計にこの唄に惚れたんだ。


百人一首を唱えるとぶわっと風が私を包み込んだ。


その瞬間私の意識は消えた。

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