俺の隣には小さな桐の木【国見英】 (ページ10)

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８＊私は弱かったページ10

Aside

時間が刻一刻と過ぎる。
けど彼女はまだ来ない。

『......遅いな』

心配になった私は
教室へと足を進めた。

「助けてッ！」

私が教室の近くまで行った時
そんな声が聞こえてくる。

私は走って教室に向かう。

だって、この声は。
絶対に彼女だ。

ガラッ！

勢い良く教室のドアを開ける。
中の光景に私は言葉を失った。

私が見たのは

数人の女子に囲まれた
傷だらけの彼女。

「何、助っ人とか～？」

女子の中の１人が
私を見ながらそう言った。

彼女は気付いて私に
しがみついてくる。

「助けてッ！親友でしょ⁉」

「何々、苛められたいわけ～？」

彼女の後に言われた言葉に
私は彼女の手を払ってしまった。

驚いた顔で私を見上げる彼女。

たまらず私は
その場から逃げ出した。

後ろから聞こえる笑い声に
私は耳を塞いで走る。

数日後の事。
彼女が死んだ事を知らされた。

私のせいだ。

私が弱かったから。
あの時、彼女を見捨てたから。

涙が止まらなかった。
泣いても彼女は戻って来ない。

それが苦しかった。

私が強くなれば
今度は助けられるかな？

強くなりたい。

私はそう手を握り締めた。