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年上の人って
いつも誰に頼ってるんだろうって不思議だった。
大ちゃんもそう。
私が頼ってる後ろで
誰かに相談したりしてるのかなって。
廉「まぁ
君が大西のことしか見てへんのは分かるし、」
その相手が永瀬さんだと分かったのは
私の知らない大ちゃんの話だと気づいたから。
廉「口では諦めるのって簡単やねん。
でも実際そうなるとは限らへん。」
たとえ
他の相手がいたとしても、
それで気持ちが変わるかっていったら
そうじゃない。
廉「話してみて分かったわ、
君と大吾はどっか似てる。」
「え、」
廉「考え方とか雰囲気とか、
まあどっちが変わったんかは分からんけど。」
夜の波は
私たちの前で静かに揺れた。
反射した月の光を少しだけぼかして。
廉「アイツは人前で泣かへんヤツや。」
負けを認められない自分がいて、
想いを断ち切れない自分がいて、
弱みを見せることができないでいる。
廉「本音を言うって
めっちゃ難しいことやねんな、」
だから大ちゃんは私に言ったんだ。
『本人の前で言えたらいい』と。
廉「君に向けての言葉に聞こえるけど、
あれは自分自身に言ってたんやと思うで。」
まぁ、これは俺の想像やけどな。
現実は
架空の世界とは違って
複雑で難しくて、
なかなか思うようにいかなくて。
でも私たちは
そんな世界で生きていかなきゃいけない。
「あの、
大ちゃんの家まで送ってもらっていいですか。」
それは私も、
大ちゃんも、
廉「りょーかい。」
彼もそう。
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作者名:鈴花...♪*゚ | 作成日時:2018年8月14日 11時