214. ページ23
.
いよいよ今日はフットボールフロンティア全国大会の開会式だ。雷門イレブンの引率は響木と秋の二人に任せ、Aは春奈・角馬と共に観客席にいた。
『続いて関東ブロック代表、雷門中学！』
｢あ、来るみたい｣
雷門のプラカードを持った女性を先頭に、いつも通りの雷門イレブンが姿を見せる。部員が足りず試合にも出られず、マンモス校のオンボロ部室で隠れるようにしていた彼等はもういない。誰もがまっすぐ前を向き、希望と闘志に満ち溢れた表情をしていた。堂々と歩くみんなを見ていると、胸の奥がじんとした。実況の言う通り、彼等ならきっとイナズマイレブンに……否、伝説を超えるようなチームになれる。
｢見事な煽り文句でしょう。雷門中の解説は、小生が脚本を書いたんですよ｣
｢え！？｣
どうやら実況を務めている角馬王将は、予選大会中に実況を務めていた角馬圭太の父親らしい。雷門理事長といい角馬家といい、これまでサッカー部がまともに機能していなかった雷門にサッカーに精通している人間が多いのは謎だ。かつての伝説の影響だろうか。
｢我々親子は、熱い実況で中学サッカー界を盛り上げることに、至上の喜びを感じているのであります｣
｢そ、そう……ご苦労さま｣
｢父上後を頼みます！！｣
滝のように涙を流す角馬と若干引き気味の春奈との温度差がシュールだ。二人を横目にグラウンドに並んだ雷門イレブンを眺める。最初に目に入るのは、やはり豪炎寺だ。
｢修也、立ってるだけでも様になるね｣
｢A先輩って本当に豪炎寺先輩のこと好きですよね〜｣
｢だって何しててもかっこいいし可愛いし優しいし強いし、宇宙一素敵だもん｣
｢想定以上にベタ惚れで、小生驚いております……｣
｢えへ｣
｢豪炎寺先輩もA先輩にベタ惚れですもんね｣
｢そう見える？｣
｢見えます見えます！｣
二人とお喋りしながらも、視線は外さない。あの場所に立つ豪炎寺を特等席で眺めるために傍を離れたのだから、しっかり目に焼き付けておかなくては。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 268人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おひめ | 作成日時：2022年9月24日 12時
