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次の日の放課後。グラウンドで練習を重ねる雷門イレブンの元に、全速力で走ってくる人影がひとつ。
｢A｣
｢修也！｣
振り向いた豪炎寺に、嬉しさを隠せないといった様子でぴょんと抱きついたのはA。勢いを殺すためくるりと一回転して地面に下ろした。王子……と誰かが呟くのを他所に、豪炎寺はよしよしとご機嫌な彼女の頭を撫でる。
｢ドクターストップは解除されたようだな｣
｢あ、わかる？｣
｢お前はすぐ表情に出る｣
｢えへへ｣
Aは先程まで病院に検査結果を取りに行っていた。そしてこのはしゃぎよう。良い結果だったのは言わずもがなである。
練習を一時中断した仲間たちは、ラブラブオーラを嫌という程放つバカップルの元に集まる。
｢A、一緒にサッカーできるのか！？｣
｢できるよ〜！｣
｢よっしゃ！｣
手を取り合って喜ぶ円堂とA。円堂にとって、Aとサッカーをすることは彼女の入部と同じ悲願だった。
｢あ、でもフットボールフロンティアが終わるまではマネージャーとして頑張るね｣
｢そっか、女子は出られないもんな……｣
｢でも、練習には付き合うから！｣
すると、マネージャー陣がフィールドの方へ出てくる。
｢Aさん、忘れているのではなくて？｣
｢ん？｣
夏未の言葉に振り返ったAが、秋が持っているものを見て瞳を輝かせた。
｢Aのユニフォームよ！｣
｢背番号は22番です！｣
22という数字に疑問を抱く雷門イレブンに、夏未が｢ピースサインみたいで可愛いからってAさんが選んだのよ｣と説明する。彼女らしい単純な理由に皆が笑みを零した。
｢夏未、それから秋と春奈も……ありがとね｣
｢選手にユニフォームを用意するのは当たり前のことよ｣
｢それでも、ありがとう！｣
満面の笑みを浮かべるAと、照れ隠しからそっぽを向く夏未。素直な天使様と素直じゃないお嬢様は通常運転だ。
｢あ、そうだ｣
｢どうしたんだ？ A｣
｢やりたいことがあるんだけど、ちょっと時間貰っていい？｣
一瞬豪炎寺と視線を合わせたAの言葉に首を傾ける面々だったが、快く頷いた。
｢着替えてくるねー！｣
ぱあっと表情を明るくした彼女が、全速力で更衣室へ駆けていく。
｢あいつ、あんなに足早かったのか……｣
｢今までも相当だったけど、もっとお転婆になるんじゃないか？｣
｢Aが楽しいならそれでいい｣
｢相変わらず甘いな、豪炎寺……｣
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年9月24日 12時
