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ラーメン屋・雷雷軒の扉には、本日貸切の貼り紙が。店内では雷門サッカー部による賑やかな打ち上げが催されていた。
｢やったぞー！｣
｢｢やったぞー！！｣｣
キャプテン円堂の音頭に、皆が答える。基本的にいつもテンションが高くて面白い雷門イレブンだが、今日はいつも以上に元気だ。四十年間無敗だった帝国学園を打ち破って全国大会への出場が決まったのだから、達成感もひとしおだろう。
｢もう、何度目よ｣
｢いいじゃないか、何度だって！ 俺たちは、優勝したぞー！！｣
｢｢優勝したぞー！！｣｣
苦笑混じりの秋の言葉に、またも大声で音頭を取る円堂。喜びを全身で体現する様子を見ていると、ついつい頬が緩んだ。
｢かわいいなぁ、もう｣
｢A先輩、お母さんみたいです。やっぱり聖母じゃ？｣
｢残念、人間でーす｣
春奈とAのこの会話も、最早恒例行事である。
｢監督、俺チャーシュー麺追加！｣
｢僕、五目チャーハン｣
｢おう、いっぱい食べてけよ！｣
選手たちだけでなく、監督もいつになくテンションが高い。四十年前に果たせなかった地区大会決勝での雪辱を、後輩たる彼らが果たしたことへの感動は、本人以外に計り知れない。
｢おいし〜｣
｢良かったな。餃子食べるか?｣
｢たべる！｣
いつも通り食欲旺盛なAに、豪炎寺が目を細めて微笑んだ。それから、望み通り彼女の口に自身の餃子を運んでやる。幸せそうに咀嚼する姿を眺める豪炎寺。二人の周囲には心做しかハートマークが飛び交っているようにも見えた。
｢バカップルは通常運転だな！｣
｢むしろこのやり取りがないと違和感すらある｣
｢言えてます〜｣
普段は突っ込んだり邪魔をすることも多いが、地区大会優勝でご機嫌な本日のサッカー部員は、バカップルに対し随分と寛大だ。普段は半眼を向けられているので、微笑ましげに見られると何だかむず痒い。
しかし、皆の笑顔は見ていて飽きない。これから先は、影山のようなヤバい大人に絡まれることなく安全にサッカーを続けて欲しいものである。
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年9月24日 12時
